第三章-1
パレ−ドが、関内駅近くの公園まで行くとピエロが集まっている
観客に大きなトランプを使いマジックを披露する。
奥様たちは、保険の案内を配りながら、握手に応じる。
もちろんカメラおやじたちは、規制のロ−プから乗り出しながら
奥様の姿態を追う。
ロリコンおじさんは、不満げだ。
3人の中学生は、レオタ−ドだがおとなしめだ。
胸元も開いていないし、幼いお尻もしかり覆われている。
静香と花華は、緊張で笑顔もみえない。
桃割れにした髪を三つあみにしたきよみにカメラが集まる。
瞳がくりっとして、白い歯が覗く、将来がたのしみな美形だ。
足も静香と花華がマッチ棒のようなのに比べれば少し肉付きが
良い。
きよみのおかあさん役は、雅美だ。
きよみにビデオを向けると、すぐに長身が入ってくる。
「あのブス邪魔だよ」
「ブス、どけよ」と怒鳴るおじさんもいる。
佐和子は、おじさんたちの心が解る。
「雅美ちゃん、きよみちやんは、カメラに慣れているから
大丈夫よ」
雅美の隣にきよみを並ばせる。
撮影会だ。
ファインダ−を向けると、雅美の豊かな乳房の下に
三つあみの少女の幼い表情がくる。
ロリコンには、たまらない構図だ。
雅美がきよみに声をかけるときよみがくっきりとした
綺麗な二重の瞳を母に向ける。
母親に向ける可愛らしい笑顔にシヤッタ−が止まらない。
きよみは、気持ち悪いおじさんたちに慣れたのか顔色が
薔薇色になってくる。
佐和子は、奥様の敵だ。
「きよみちやん、ママの足に手を回して」
きよみは、その言葉が上手く理解できたようだ。
雅美がハイヒ−ルのため身長の差があり、きよみの細い腕がママの
太腿の間に簡単に入ってしまう。
きよみは、雅美のスタイルから発散する母性の香りに引き込まれる
ように右の太腿を抱きしめる。
美形の母親のやらしく脂肪の乗った太腿に細い腕をからませる美形の
娘なんていう構図は、なかなか眼にすることは、できない。
おやじたちも震える手で撮影をしていく。
ピ−ス生命、エロすぎるよ。
「きよみちゃん、ママて綺麗よねえ。
こんどは、お尻のほうから抱きついちゃましょ」
雅美が赤く染まった美形を強くを振る。
行進で喰いこんでしまったハイレグは、蕾の露出をかろうじて
おさえているだけだ。
中学生に零れ落ちそうなヒップなんか魅せられない。
佐和子がうれしそうに言う。
「きよみちゃん魅て魅て。
ママ、喰いこんじゃってるの」
おやじたちから笑いが漏れる。
パレ−ドから数日後。
ピ−ス生命の横浜支店。
浅川は、新しく作られた支店長室にいった。
威厳を持たせるため、大きめのデスクを置いた。
デスクの前には、革張りの応接セットを用意した。
豪華な支店長室に浅川は、機嫌がよい。
電話が鳴る。
阿部佐和子からだ。
熊のような男が応接室を占領しているようだ。
「雅美ちゃんに会わせろて朝から動かないんです」
「契約は済んでいるんだろ」
「はい」
警備員を呼ぶように指示をする。
パレ−ドの日は、雅美のファンの糞オヤジが雅美を
女房に出来ると思い込み契約書につぎつぎとサインをした。
契約した後に説明なんかするか。
後は金を払うだけだ。
雅美は、その頃、湯河原にある鳳仙郭という名観にいった。
山の中腹にあり、鄙びた漁港が一望できる。
小さな漁船が煙を吐き出しながら、港から出っていく。