−亜美、開花 その２−-1
_ そんな亜美はこの日も、甘えん坊ぶりを発揮していた。事ある度に母親に抱き付く仕草を見せ、甘えた声色で母と話し、客と応対していた。ほとんどの時間を、母親にべったりと付き添うように過ごしていた亜美だったが、母親が接客にかかると、時折母親から離れて一人になる瞬間があった。
_ ブティックの奥、陳列された洋服に囲まれ、すぐ近くで客と話し込んでいる母親からは死角になる位置で、男達の1人が、亜美の尻を撫でた。こんもりとした膨らみを持ったタイトスカート越しの尻に、目いっぱい広げた手の平を押し付けた。
_ 手の甲で恐る恐る触れる、などという事はしなかった。いきなり、手の平全体を接触させ、指先を尻の肉に喰いこませて、十分な圧力を加えて下から上へ撫であげた後で、円を描いた動きでその立体感のある丸みを浮き上がらせ、弾力と体温を味わい、愉しんだ。
_ 亜美は一瞬びくっとして、驚きを示したが、身動き一つせず、声一つ立てず、じっとたたずんでいた。
_ 男の手が円運動を続け、亜美の尻の二つの膨らみと丸みを、一段とくっきりと、なまめかしく浮き上がらせて、撫でまわしていると、亜美の腰が微かに、前後へのスウィングを見せ始めた。
_ 早くも快感を貪っていた。男から受ける、産まれて初めてのわいせつ行為で、男を知らぬはずの亜美の身体が、快感を覚えているのだった。
_ 亜美はゆっくりと振り返り、甘えるような視線で、上目遣いに男を見上げた。その瞳は潤んでいた。
男が、
「気持ちいいのか？」
と聞くと、小さくコクリと頷いた。
「ママに見つかっちゃうぞ」
と言うと、困ったような顔をしてみせたが、その瞳は（やめないで）と告げているように見えた。
「もっとして欲しいか？」
と聞くと、やはりコクリ。
「ママに見つかりそうなのに、して欲しいのか？」
「ママに見つかりそうだからこそ、興奮するのか？」
「ママに見つかりそうなスリルを味わいながら、凌辱されたいのか？」
という言葉にも、コクリ、コクリと続けざまに、首を縦に振った。
_ 生まれて初めての痴漢で、瞬時に完全服従の姿勢になっていた。痴漢願望があると分かっていた男達にも、予想以上の出来栄えだった。
_ その時母親が亜美を呼んだ。男が手を離すと、名残惜しそうな視線を一瞬男に送り、亜美は
「はあい。」
と甘えた声色の返事をして、母親のもとに駆けて行った。