宣-1
私も三浦さんをじっと見つめて。
「ううん―――ありがとう。でも直哉は仕事だから。
誕生日を忘れてるとか、浮気してるとか。そんなんだったら三浦さんに誕生日をしてもらうけど。
でも、仕事だから」
そう答えた私をまだ無言で見つめていた。
「納得は・・・まだ出来ないけど」
そう言って、おどけて舌を出したら
三浦さんも笑って、
「そうやな。遠距離の彼氏は仕事やからなぁ。分かったり」
「うん」
そうなんだ。
直哉は私の誕生日を忘れてる訳でもないし
浮気をしている訳でもない。
社会人の恋愛なんだ。
色々私も大人にならないと。
「じゃぁ、これ。俺からな」
そう言ってくれたのはバニラビーンズのチョコだった。
「彼氏以外の男からの誕生日プレゼントは消えるものがええやろ?」
そう言ってニッと笑うと
「今日、この後に神戸に帰ることになってん」
「え?急ですね」
「そぅそぅ。男は急な仕事が入るねん」
「・・・・」
「遠距離の彼によろしく」
そう言って三浦さんは私の前からカッコ良く去って行った。
消えるもの・・・ねぇ。
去年、会社の近くにオープンしたこのお店はまだ行ってない。
神戸の人って、ほんとスイーツに詳しいんだから。
チョコなんて三浦さんらしい。
直哉だったら絶対選ばないな。
そう思ったら、楽しくなって気分も晴れた。