宣-6
誕生日だからな。そう言った直哉に、
身体を洗ってもらって
髪を洗ってもらって
身体を拭いてもらって
髪を拭いてもらって
髪を乾かしてもらった。
至れり尽くせりで、お姫様気分になって
缶のスパークリングワインをもう1缶開ける。
「誕生日に缶のワインかよ」
そう笑った直哉を無視して
あぁ、良い誕生日だ。
そう満足していたら、左手に指輪をはめてくれた。
「え?」
「マーキング」
プレゼントをもらったのは私なのに
あげた直哉の方が嬉しそうに、指輪の上からキスをした。
「誕生日おめでとう。葵は俺のモノだ」
そうキスされた左手を斜め上にあげて眺めてみると
今まで生きてきた人生の中で1番女らしい手だった。
「ありがと」
嬉しくなって抱きつけば
「浮気すんじゃねーぞ」
そう言って、照れ隠しをする直哉が愛しい。
私たちはその夜、抱き合って眠った。