暗闇の教室-1
『大丈夫、心配はいらない。誰かに見られている訳ではないのだから、恥ずかしがることなどない。このことは僕たち二人だけの秘密。恵利ちゃんさえ黙っていれば……』
僅か数メートル脇を車両が高速で走り過ぎていく度に、恵利子の注意力は散漫になり趣が殺がれる。
走り去る車中の運転手の視線が気になって仕方なのだ。
夕暮れの高速道路、待避所、周囲は夜の闇に包まれるにはまだ早く、十分視界の効く状況と言える。
それでもこの状況を俺自身が望むのは、自身の行う罪悪感ではなく優越感に他ならない。
(どうだ、羨ましいだろ! まだ15歳、中学生にペニスを握らせている。こんな可愛くて大人しそうな娘が、俺にご奉仕しているんだ)
俺は通り過ぎていく運転席の男たち全てに、大声で吹聴し見せ付けたい気分であった。
『ここは高速道路だから、みんな運転に集中し前方に意識がいっている。それに学校帰りの女の子が、制服姿のまま男のペニスを握っているなんて誰も思っちゃいない。 ……だからっ、そろそろ、分かるだろ? 』
俺は何の根拠も無い虚構で言い含め、次なる行為へと促す。
「無理っ、無理無理っ、絶対に出来ない。あんな酷いことさせないで! もうこれ以上、恵利子のこと苛めないで」
『いいから、大人しく言うことを効くんだ』
俺は利き腕で恵利子の頭部、黒髪を鷲掴みにすると怒張する陰茎へと曳き寄せる。
当然、自ら唇を開くようなことはなかったが、握った指先を休めることも無かった。
コンサートピアニストのようなしなやかな指が陰茎を撫で続ける。
そして恐怖から来る興奮なのか、呼吸が荒く乱れ出し熱い吐息が、撫で続ける陰茎にまで届く。
『やり方はこの前と同じだ。教えた通り、舌を伸ばして先っぽを舐めるんだ』
それでも素直に従うはずもなく、恵利子は哀願に満ちた表情で一度顔を上げ許しを乞う。
その瞳は虚ろで、怯えと諦めが共存している。
おそらく恵利子は、自分自身を見失いはじめていると思えた。
無理矢理犯され強いられたとは言え、一度怒張した陰茎がどうせねば治まりがつかないのか、十分承知しているのである。
“こころ”は中三少女のままでありたくても、その未熟な身体にはしっかりと“おとこ”の匂いが侵蝕しだしているのである。
本来なら忌むべき記憶、嫌悪の対象でしかない匂いも、繰り返し強いられることで少女の“こころ”が壊れ、無理矢理“おんな”へと変わらされようとしている。
自らを犯した男を蛇蝎の如く嫌い憎んでいるにも関わらず、少女のはずの恵利子の中に“おんな”としての生殖本能が芽生え出していた。
“おんな”としての本能が陰茎を欲しはじめ、“おとこ”の匂いに誘われ疼いてしまう。
少女としての清らかな“こころ”、理性と本能が相容れず精神のバランスが崩れ、自分を見失いはじめていた。
『さあ、舐めるんだ。舌を出せ!』
恵利子は視点が定まらないまま、右手で陰茎根元をしっかり握りると、頬を寄せ小さな舌を前へ伸ばす。
震える舌先が亀頭の裏筋に触れるように、ぎこちなく何度も往復を繰り返す。
おそるおそる触れ出した舌先は、いつしか尖り雁首の溝を滑りはじめると同時に熱を帯びる。
まるで子供が遊びのコツでも憶えたように、円を描くよう舐め柔らかな唇で陰茎先端のみをふくみ、亀頭の形を記憶するようなぞり出す。
先端から溢れ出した粘液で、唇を上手にヌルヌルと滑らせる。
『ぁうっ』
偶然なのか、こちらが驚く程、巧みに舌と唇を使ってくる。
思わず、悦びの声を漏らしてしまうと、その部分を入念に責めて来る。
刺激に耐えながらも、恵利子自身すら気づかぬ目覚めに、俺はほくそ笑む。