ヴィーナスの思惑-8
ミチオは、継母に命じられるままに全裸になった。恥ずかしさはなかった。彼は剥け切らない
亀頭の包皮を、彼女に淫靡に弄られ続けた。女の太い指とペニスの肉が絡み合う粘っこい音が、
ペニスの先端に血を集める。そして握り締めたものに感じたように女は足を開くと、ミチオを
突き放し、股間の割れ目を舐めることをしたたかに言い放った。
ミチオは彼女の前に跪き、開いた太腿の付け根に接吻した。継母の蒸れすぎた陰毛の臭いは、
彼の溜まりすぎた唾液に絡むように唇の中に忍び込んできた。濃い繁りを掻き分けながら陰部
の割れ目を舌先でまさぐったとき、彼女の表情が変わった。舌が割れ目の淵をなぞると、彼女
は悶えるように嗚咽を洩らし下半身を捩った。彼女の下腹の黄土色の肉が、うねるように歪み、
ぷるぷると揺れ動いていた。舌の先端がぬるりと彼女の肉奥の蕾をとらえると、女は膿を搾り
出すように色素を失った陰核を尖り立たせたのだった。
そこはミチオにとって奥深い未知の世界だった。舌の先端が彼女の襞の割れ目の奥の粘膜を
まさぐるように蠢き、じわりじわりと彼女の肉奥に潜り込んでいく。淫洞の肉襞だけを卑猥に
収縮させ、伸び切った彼の舌を喰い締めていく女の性器の肉惑がふくらみ、ミチオの中で大き
く揺らいでいく。そして、彼女の肉洞の中で、ミチオの舌が彼女の肉襞によって烈しく凌辱さ
れることで、不思議な情感がミチオの肌の毛穴から滴っていく。女はミチオが吐く息に股間を
裂かれるように脚を大きく開き、のけ反りながら肉の割れ目をミチオの唇に烈しく押しつけて
くる。そして、漆黒の湿った草むらの中で、褪せた花びらを重ねたような肉溝から滲み出た汁
を強く啜ったとき、ミチオは毒におかされたように全身に痺れを感じた。
あれから三年がたった。父が死んだあと継母と会うことはなかった。あのときミチオは《与え
られたもの》として彼女に所有されている快感に確かに酔うことができた。継母は、何度とな
く彼を犯し続けた。彼女が欲望するままに、そして、おそらく彼が欲望するままに…。彼女は
ミチオの精を搾り尽くし、精子がひとつとして残ることがないくらい熱くたぎった蜜汁で彼の
性器の奥を炙り、焼き焦がしたのだった。
あの人と会う約束の場所は、SMクラブ「ルシア」のプレイルームだった。彼女はミチオが
想い描いたとおりの女だった。
燿華女王…彼女はそのクラブの女王様だったのだ。魅惑的な黒いボンデージで身を包んだ彼女
は、籐の椅子に腰を下ろし、スラリとした脚を組み、赤いリノリウムの床の上に跪いた裸の
ミチオを見下げるように視線を這わせていた。氷のように冷たい彼女の視線が、彼の首筋を
撫で、乳首をなぞり、貞操帯に包まれた彼のものに絡む。ミチオは、願い続けた心の昂ぶりを
感じた。
彼女の胸元にはミチオの貞操帯の鍵が光っている。ミチオはとてもうれしかった。彼のものが
貞操帯の中で脈々と息づき始めていた。それは欲情ではなく、ミチオが彼女に《与えられたも
の》となる、とても鮮烈な瞬間だった。黒いストッキングの網目から、彼女の白い脚肌が砕い
た星の光を吸ったように煌めいていた。今、ミチオに赦されたことは、ずっと願い続けた彼女
の美しい脚に接吻をすることだった。
欲しいんでしょう…脚を舐めるのよ。尖った針のような声で冷ややかに彼女は言った。その声
に魅了されたようにミチオのものが、貞操帯の中で喘ぎ始める。あの人は、跪いたミチオの唇
をなぞるようにハイヒールの先端で突く。ハイヒールのエナメルが鈍い光沢を放ち、彼を薄く
笑っていた。