ヴィーナスの思惑-12
…ひいいっー、ああっ…ぐぐぐっ…
弓のようにからだをしならせたミチオは、けたたましい悲鳴をあげ、鞭の鋭い痛みに白い両腿
をにじり寄せ、痙攣するからだ全体で荒い息をのみこんだ。容赦ない彼女の鞭はミチオの意識
を朦朧とさせ、やがて意識さえ奪っていった。
ふと気がついたとき、ミチオは床に仰臥するように横たわっていた。そして無意識に唇を開き、
見上げているものはあの人の股間の漆黒の翳りだった。ミチオの顔は彼女の開いた足元のあい
だにあった。
ミチオは、彼の顔を跨いだ彼女の足元で唇を薄く開け、無意志のうちに彼女の放尿を待ってい
たのだ。それはとても麗しく、愛おしい、彼がとても憧れた場所から与えられる。ミチオが
触れることも舐めることも嗅ぐこともゆるされない場所。そして淡い色に縁どられた割れ目の
翳りは、彼にとって果てしのない永遠の場所だった。
ミチオは彼女の尿意をくすぐるように唇を蠢かせる。彼女の肉の裂け目が少しずつゆるみ、湿
り気を含んでくるのがはっきりとわかった。彼は彼女のぬめった尿口を舐めるように覗きなが
ら聖水を哀願する言葉をつぶやく。言葉は自然にミチオの咽喉奥から発せられる。そして言葉
のすべてが彼女の欲情となり尿意となっていく。
ミチオはいかに彼女の聖水が素晴らしく美しいものであるのか語り、彼女は、痛みに耐えた彼
に対してご褒美と称しながらも、彼を罵倒する無慈悲な言葉を冷ややかに吐く。互いの言葉が
擦れ合うほどに甘美すぎるほどの夢幻の欲情がふたりにもたらされた。ミチオは、まるで今に
も放たれる彼女の放尿を予感するように唇を大きく開き喘いでいた。迫ってくる芳香な匂いが
彼の中をくすぐり、心の隅々を刺激する。彼女の匂いにひれ伏し、彼女の匂いを心と体のすべ
てに感じることは、もしかしたら清浄で瑞々しい恋以上のものかもしれなかった。
一瞬、彼女の色褪せた尿口が小刻みに痙攣する。わずかに色を含んだ尿液が彼の顔面に少しず
つ滴り始める。顔面が歓喜でゆがみ、うすい色を含んだあの人の尿汁が少しずつ彼の唇に吸い
込まれていく。
…あぶっ…うぐぐっ…
唇から溢れた尿液が、首筋から幾筋かの線となり、糸を引くように厚い胸肌に流れていく。
彼女はわずかに腰を低くし、ミチオの顔面に股間を近づけ、尿汁で溢れ、苦しげに喘ぐ唇の中
に絞り出すように尿液を注ぎ込む。股間の窪みから迸り出る尿汁は、まるで海綿動物のように
蠢くミチオの唇の中を満たしていく。ミチオの喉元が微かな収縮を繰り返す。唇から溢れた
尿液が顔面を濡らしながらも、彼は滴るあの人の尿水を必死にとらえようとしていた。息を
切らせ、彼女の股間から滴り落ちる尿の最後の一滴まで彼は求めていた。生温かい尿汁がミチ
オの喉をとおり、彼の体の中にたっぷりと注がれることに、あの人はきっと情欲の熱い高まり
を感じているはずだった。
ミチオは身悶えする自らの嗚咽に奥深い、濃密な快感がねっとりと渦を巻いているのを感じた。
生あたたかさを含んだ蒼白く光るものに濡れた秘裂にミチオは身震いするような眩暈を感じ、
からだの中が小刻みな蠕動を繰り返していた。彼女から放たれた聖水は、ミチオの肉体の隅々
まで夥しく滲み入ってくる。それは棘のある薔薇の花のように甘く、血流の奥深くへと溶けて
いく。