悪鬼-11
「尻を出せ」
壁に手を突かせて、尻を突き出させた。
後ろからあてがっていくと、高さを合わせるように母が背中を反らせて、つま先を伸び上がらせる。
自然としたのだった。
「いやらしいメスだ……」
ことさらタケルが言葉の暴力で貶めたのは、母の隠された性癖に気づいていたからだ。
母の身体には至るところにスジ状の傷跡があり、股間にはまるっきり性毛がなかった。
豊かに膨らんだ乳房の上下には、縄で縛られたような擦過傷の痕までしっかりと残されている。
この身体を見て、性癖に気づかないバカはいない。
母は、倒錯の性交に溺れるマゾヒストだ。
だから、タケルを様と呼んでいた。
タケルをずっと心の底で犯したいと願っていた。
いや、タケルの奴隷にされたいと望んでいたのだ。
それが思わず口に出た。
タケルはそれに気づいていたから母を足で踏みつけることができた。
望んでいるのならば、欲しがるものを与えてやればいい。
だが、すぐにはやらなかった。
「欲しいか?」
自分で掴みながら、入り口のあたりで滑らせた。
「……はい……」
力のない声が返ってくる。
長い髪をだらりと下げて、うな垂れるように頭を落としていた。
与えてもらうためには、対価が必要なことをわからせなければならない。