喜びより悦びを求めて-1
「遅くなってごめん、来たよ?」
「おう!んじゃとっとと服脱いでベッドにうつ伏せになりな?」
10時を過ぎた頃、意を決してようやく私は裕太の部屋へと足を踏み入れるも、開口一番そんな言葉を投げかけられ、いきなり戸惑いを隠せない。
わかってる。裕太に他意はない。マッサージをするために邪魔な服を脱げと言っているだけだ。恥ずかしがってる私がおかしいのだ。
私は必死でそう言い聞かせると、背中を向け、シャツを脱ぎ捨てては、いそいそとベッドに横たわった。
「うん?スカートも脱がなきゃシワになるぞ?」
「い、いいのっ シワになっても平気なヤツだから……」
さすがにいきなり下着姿になるのは恥ずかしい。どうせおしりをマッサージする際、捲られて露わにされるのだろうけれど、胸しかり大きなおしりもまた私にとってはコンプレックスのひとつ。ギリギリまで隠しておきたいのはささやかな乙女心だ。
「しゃーねぇな!んじゃ力抜いて?」
そう言って裕太は私に跨ると、まずはとばかりに優しく、両手で肩を揉みはじめた。
「んっ……」
肩胛骨に親指を押し込みながら、指先で凝り固まった筋肉を刺激しながら、プロ顔負けの手際の良さで私の体をほぐしていく裕太。
曲がった背骨を矯正するように、徐々にその手を背中から腰へと移動させると、ゾクリとした得も知れぬ感覚に、私の口から思わず甘い溜息が零れた。
「あんっ ん、あっ はぁ……っ」
堪え忍ぶように必死で声を押し殺す私。けれど、どんなに頑張ってみても、やっぱり息が漏れ落ちてしまって、かえってそれが嬌声みたいに聞こえてしまい、なんだか余計に恥ずかしい。
体を反転させ、足首から脹ら脛に、徐々に私の下半身へと昇っていく裕太の指先。
太股をほぐしながら、敢えて付け根は避けてくれるものの、案の定、スカートは捲り上げられ下着は丸見え、構わずその手は私のおしりをまさぐりはじめた。
ちなみに下着はちゃんとおろしたてに履き替えてきてる。でも、すでに変に感じちゃっているから、汚れてしまっていないか不安でいっぱいだ。
「相変わらずでけぇケツしてんな」
「ほ、ほっといてよっ」
「あはは、スタイルいいんだからもっと自信持てばいいのに」
「う、うるさい……バカッ!」
裕太は私の体をよく知っている。幼い頃は、それこそ会うたびこうしてマッサージをしてもらっていたから、両親以上に私の成長過程を見てきている。
人より発育が良すぎてからかわれていた私を、大人っぽくて格好いいんだから自信持てよだなんて、いつも笑顔で勇気づけてくれていた裕太。
その一言に、どれだけ私が救われた事か。運動もろくにしていないのに、こうも引き締まっているのは、他ならぬ裕太のマッサージのおかげだろう。