喜びより悦びを求めて-2
「ふぅっ んじゃ今度は前な?」
「……へ?ま、前って???」
思わず裏返った声で聞き返す私。
「オマエ最近油断して食い過ぎてるだろ?腹出てきたんじゃないか?」
「はうっ な、なんでそれを……」
「毎日顔あわせてるんだから、見りゃわかるっつーの!」
確かに、最近調子に乗って食べ過ぎていたから、少しお腹周りが気にはなっていたけれど、制服の上から見ただけでそんな事にまで気づかれていただなんて、嬉しいような恥ずかしいような、どうにも反応に困ってしまう。
「ちなみに今日はその無駄な脂肪を燃焼するために…… ジャーン!こんなものを用意しました!!」
そう言って裕太がドヤ顔で取り出した小瓶には、少し黄みがかった透明の液体が入っていた。
「な、何よそれ?……オイル?」
「そ、マッサージオイル!天然の植物オイルだから結構したんだぜ?」
なんとも嬉しそうな表情で私を見つめる裕太。反面、私は強ばった表情で、ゴクリと唾を飲み込んでいた。
そりゃ私のためにそんなものまで用意してくれたのは素直に嬉しい。
でも、ただでさえ触れられるだけでも気持ちがいいというのに、あんなヌルヌルした液体で体を撫でまわされたりしたらどうなる事やら。考えただけで熱くなる体に、私は思わず顔まで火照り上がらせていた。
「ほら、わかったらさっさとこっち向きやがれ!」
「や、ちょっと待って…… あんっ」
そう言っては、有無を言わさず私の体を起こし上げる裕太。慌てて両手で胸元を隠す私など気に止める様子もなく、喜々として手にオイルを浸しながら、それを私の体に塗り込みはじめた。
「や、冷た……っ」
「大丈夫、すぐに暖かくなるから」
言葉通りその液体は、体に塗り込まれるやすぐさま熱を帯び、私の体をいっそう熱く火照らせていった。
「桜、邪魔だから手のけろ?」
「え?や、だって……」
「んだよ、いまさら恥ずかしがらなくても飽きるくらい見てるっての」
「そ、そうだけど……」
「ああもう、んじゃあまり見えないように後ろからするから……な?」
「う、うん わかった……」
そう言って私の背後へと体を移動させる裕太。私はそれを確認すると、うつむいたまま、ゆっくりと胸元から両手をはずした。
「ひゃっ ヌルヌルしてる……」
背中から伸びた裕太の大きな手の平が、私の胸を包み込むように鷲づかむ。
ヌルリとした感触、体中を駆け巡るなやましい刺激、いかにマッサージと言えども胸を揉みほぐされる行為は、否応なしに性的なそれを感じさせる。
なのに裕太ときたら、相変わらずの素知らぬ顔で、まるでこんなのただの脂肪だと言わんばかりに淡々と私の胸を揉みしだいてる。
もしかして意識してしまう私がエッチなだけなのだろうか?
「はんっ や、変な声でちゃうよ」
両手でシーツを握り締めながら、閉じた太股に力が入る。
これでもかとばかりに揉みしだく裕太の手の平。指先が先端に触れるたび、尋常じゃないくらいの刺激を感じてしまって、すでにそこが痛いくらい堅く突起してしまっているのを、裕太は気づいていないのだろうか?