新しい君に-6
(6)
唸るような太い呻き声とともに純子が射精したのは間もなくのことである。
「出ちゃう!」
跳ね起きて俺を顔を押しのけるとティッシュを当てて蹲った。
「うう……」
丸くなった背中がしばらく痙攣していた。
やがて浴室に立った純子はペニスを揺らしながら出てきた。まだ昂奮を残したその顔には明るい艶やかさが表われていた。
「こんどはあたしが……」
半開きの口から覗いた舌先が妖艶に動いた。
目を閉じてゆっくり抽送を繰り返す純子の顔に、その行為とは相容れない幼さが感じられた。幹をしっかりと握り、ひたすら上下に動く。決して巧いとはいえないフェラチオだが、その稚拙さに却って想いが昂ぶり、感じた。
(一途に俺を咥えている……)
可愛いい……と思ったら突き上げがきた。
「出そうだ……」
半身を起してティッシュを抜き取ると咥えたまま純子は顔を横に振った。テンポが速くなった。
「出るぞ、いいのか?」
顔を歪めて頷いた。
小さなベッドは寄り添わなくても体はくっついてしまう。2人とも全裸である。
「ゆっくり寝られないでしょ?」
「まだ寝ないよ」
抱き寄せると俺の胸に顔を埋めてきた。髪がくすぐるように顔にかかる。柔らかい髪質である。
「初体験……。ほんとですよ」
息が胸元に吹きかかる。
「そう……」
(俺も、初体験だ……)
「でも……」
純子は間を置いて息を吐くように言った。
「まだ……バージン……」
(?……)
訊き返そうとして、考えた。
(まだ、バージン?……)
どういうことか……。
思い当たったのは、
(アナル……)
「知り合えてよかった。声掛けてよかった。……あたし、ポジティブなんです。ハートにくる人がいたら気持ちを伝えちゃう。ダメでも落ち込まない」
「いままで引いちゃうやつばかりだったんだろう?」
「ふふ、少しはめげたけど……」
きっと屈辱的なことはたくさんあったことだろう。
横向きになって抱き合い、何度もキスをした。
「ああ……うう……」
純子の昂奮は続いている。
体をまさぐりながら揉むつもりでつい胸に手を当てると、
「なくてごめんなさい」
乳首を押すと声を洩らした。
「敏感だな」
「感じちゃう……」
尻は小さいが肌ざわりは滑らかだ。
しばらくさすり、滑るように前へ移動した。
「あ、いや……」
すでに勃っていた。握るとさらに硬くなった。
「元気だな」
言ってから、純子に対してはふさわしくないように思い、
「感じてるんだね」
「やっぱり、恥ずかしい……」
「もうわかってるんだからいいじゃないか」
(これを咥えて舐めたんだ……)
「女として、感じてるんだ」
「そこはあたしのクリトリス……そう思ってるんです」
そっと手を動かす。
「気持ちいい……」
純子の手が俺のモノを握ったがまだ不完全なままだ。
「大きいですね」
「普通だろう」
「ううん。いままで見た中で一番」
純子の手が揉みあげるように始動した。
「あたしみたいな心の人たちの集まり、あるんです……」
純子は抑えた声で話し始めた。
「ネットでもあるし、時々会う友達からの繋がりもあります……」
そこには互いに心と体を理解し合える人達がいる。だからパートナーを見つけることもたやすい。
「でも、あたし、抵抗があるんです」
小さな世界に籠っているようで自分が卑屈になってしまいそうな気がする。いやな思いをすることがあっても社会の中で生きている実感がほしい。
「そんなこと、考えるんです。結局、自分の世界なんですけど……そこで誰かに出合えればいいし……」
純子の手の中でむくむくと膨らんだ。
「すごい……」
俺は純子の手を取り、下半身を押しつけた。ペニスと『クリトリス』が触れ合った。
「ああ、くっついてる」
純子も圧してくる。
「けんかしてるかしら?」
「キスしてるよ」
「こんど、俺のところに来る?」
「行く」
「でも、汚ないからな」
「あたし、男の人のちょっと散らかった部屋、興味あるんです」
「ちょっとどころじゃないよ。片づけておくよ」
「あたしが片づけます。好きなの、やらせて」
純子が俺の上に重なって唇を押し当ててきた。