衝撃-9
タケルは、ぼんやりと見つめつづけた。
このひとには可愛がってもらった記憶しかない。
いつもタケルを大事にしてくれ、それこそ宝物のようにタケルを愛してくれた。
タケルの脳裏には、嬉しそうに笑う母の姿しかない。
その笑顔をこれから消すことになる。
覚悟は決めても、なかなか踏み出せなかった。
細い背中に身体を寄せて、目を閉じた。
たとえようのない温もりが肌に伝わる。
どうすべきか、迷いつづけた。
迷いつづけているうちに、タケルはうつらうつらと船をこぎ出して、いつの間にか眠ってしまったようだった。
夕べの寝不足も堪えていた。
母の温もりが、知らず知らずのうちにタケルに安心感を与えてくれる。
どれだけ眠っていたのかわからない。
タケルは不意にヌルリとしたものを股間に感じて、目覚めた。
何事が起きたのかわからなかった。
まだ夢の中にいるのかと勘違いまでした。
だが、間違いではなかった。
はっきりと股間に伝わる濡れた感触がある。
そろそろと目を向けた。
そこには、タケルのペニスを口にする、母の顔があった……。