第1話 危険な早摘み-1
矢口陸人、彼の名前。
歳は13歳で、私の息子の友達だった。
そして私は、41歳の女。
名前は、小出美和。
ごく普通の容姿で、ごく平凡な主婦をこなしてきた。
とある夏休みの昼下がり。
中学一年の彼は、同級生の息子と遊ぶ為に、私の家を訪ねてきた。
「ごめんなさいね。今しがたコンビニに出掛けるって出て行ったのよ」
生憎、息子の大地は留守をしていて、私は事情を説明した。
「それじゃあ、後で出直します」
彼の言葉は、私を名残惜しい気持ちにさせた。
そう思わせるくらいに、彼は魅力的な美少年だった。
私の様な、年頃から見ても虜になるほどに。
「ちょっと待って・・・多分近くのコンビニだと思うから、あがって待っていたらどう?」
咄嗟に思いついた言葉だった。
他の子供達なら、ここまでは気を掛けない。
彼だけの特別待遇。
「どうしようかな・・・それじゃあ、少し待たせてください」
彼は礼儀正しく頭を下げた。
息子の大地を含めた、他の子供達には無い雰囲気を醸し出す彼。
私の心を捉えて止まない気持ちにさせた。
「それじゃあ、あがって」
私は満面の笑みを浮かべて、息子の部屋に案内した。
階段を上る間に、抑えきれないほどの胸の高鳴り。
そして、束の間の二人きりだけの空間。
一人の美少年は、私の様な平凡な主婦さえも、甘美の世界へと導くほどに輝いていた。
「少し散らかってるけど、ここで待っていてね」
私は彼を部屋の中に案内すると、即座にキッチンに向かった。
彼の為に、ジュースとお菓子などを用意する為だ。
普段は、複数の友人の中の彼だったが、今は特別な私だけの存在。
用意するお菓子なども、彼の為に特別な物を奮発した。
「待たせちゃってごめんなさいね。大地が来るまで、これでもつまんでいてね」
私が部屋に戻ると、彼は礼儀正しく正座をして待って居た。
見た目通りに、気品あふれる彼に感心しながら、私も同じように目の前に正座して座ると、お菓子が盛られた大皿などを差し出した。
「うあ〜・・・これ有名なチョコレートじゃないの?」
彼が驚く様に、チョコレートには有名なお店の名前が刻印されていた。
「良いのよ遠慮しなくても、貰い物だからたくさんあるのよ」
私は、彼のコップにペットボトルのジュースを注ぎながら話した。
ただ、話してる内容は彼に対する見栄であって、実際は自分の為に奮発してキープしていた物だ。
「それじゃあ遠慮なく頂きます。うわ!?・・・とろけるほどに甘くて美味しい!」
彼は口に入れた瞬間に、すぐさまリアクションをした。
その無邪気に喜ぶ姿は可愛らしくて、益々彼の魅力に引きつられていた。
「ふふ・・・それなら良かった。さあ、遠慮しないで、どんどん食べてね」
私は嬉しさのあまりに、満面の笑みで返した。
ただ、普段と違うシチュエーションに緊張してる為か、中々会話が長続きをしない。
彼を美少年と意識してるのも、要因の一つだった。
そんな私の気持ちなど裏腹に、彼の何気ない行動で波乱の火蓋は切って落とされた。
「ねえ、おばさん・・・どうして女の人はストッキングを履くの?」
彼が何気なしに、正座する私の膝を撫でながら話しかけてきた。
一瞬、私は驚いたが、彼の幼い好奇心溢れるものと思えばさりげなく流した。
「私の様なおばさんだと、ストッキングを履いてないと綺麗な脚に見てもらえないの」
この時、私の履いている黒のタイトスカートの下には、ベージュのストッキングを履いていた。
「そんな事ない・・・おばさんの脚、凄く綺麗だよ」
彼の褒め言葉に、私は年甲斐も無く赤面していた。
「ふふ・・・お世辞でも嬉しいわ。でもね、ストッキングを履いているから脚が引き締まって見えるの。ほら・・・ここも触ってみて・・・・・・」
私は正座する脚を横に崩すと、彼の手つきを案内する様にふくらはぎなどを触らせた。
「本当だ・・・おばさんの脚が引き締まってるよ。それに、ストッキングってこんなにザラザラしてるんだ」
「そっか・・・陸人君は男の子だから、ストッキングとか触るのは初めてなのよね」
彼は、私の言葉に耳を傾ける事無く、夢中でストッキングの感触を堪能していた。
触る手つきも、まるで溺愛してるペットを撫でる様に力強くなっていた。
何気ない少年の好奇心だが、私は次第に違和感を覚えた。
さりげなく彼の表情を伺えば、どこか異様なほど据わってる目つき。
そして、視線を下げた瞬間に、私は目を疑う様な光景にも出くわす。
何と、ジーンズの上からでも見て分かるほどに、彼の物が膨らみを帯びていた。
つまり彼は、好奇心で私のストッキングを触りながらも、性的に意識していたのだ。
私は、彼の様な未熟な性の矛先が、自分の様な中年の女に向けられている現実に、ただ驚愕した。
例え、ストッキングに対する興味本位であっても、私自身を含めて意識したのは間違いなかった。
私の心が戸惑い揺れ動く中、まるでおかまい無しにと言わんばかりに、相変わらずストッキングの感触を堪能する彼。
本来なら注意するべきなのだが、そうなると彼の行為事態を不適切なものだと認識した事にもなる。
彼にしてみれば、表向きは友達の母親の履いているストッキングに興味を示して、ただ触ってるだけの事。
性的に意識している事実に関しては、ただ私が目を瞑って黙っていれば、丸く収まる話だった。