遠き日々-1
第30話 〜〜「遠き日々」〜〜
世の中に、こんな人間がいるなんて信じられない……。
ドアを開けた瞬間から、危険な匂いを感じてはいた。
『そのガキも連れて行けよ。』
出掛けにトリヤマから、そういわれたとき、わたしはそれをめずらしいこととは思わなかった。
誰もこの子の面倒なんてみたがらない。
ひとりにするほうが心配だったから、仕事に出掛けるときは、いつも一緒に連れて行った。
トリヤマも、最初の頃は渋い顔をしていたくせに、泣き出したこの子をあやすわたしを犯したがる男たちが意外と多くいるとわかると、文句を行ったりもしなくなった。
わたしは、ミルクをあげたり、おしめを替えたりしながら犯された。
母乳なんか出もしないのに、乳首に吸いつかせたがる男たちも多くいた。
誰もがみんな、この子の世話をするわたしを面白がって弄んだ。
だから、この子を一緒に連れて行くことなんて、全然めずらしい事なんかじゃなかった……。
部屋に入った途端、あいつは蛇のような冷たい目で見下ろした。
はじめて指名してきた客だった。
わたしをひと目見るなり、あいつは、にやりと口元を歪めて笑った。
視線は、すぐに腕の中で眠っていたあの子に落とされた。
薄気味悪い不気味な笑みを向けられて、嫌な予感を覚えた。
あの子をベッドに寝かせるなり、すぐに裸にされた。
じっくりと眺める人が多い中でめずらしいタイプの男だった。
危険な匂いを感じていたから、されるがままになっていた。
わたしを裸にしてしまうと、自分の唾で濡らしただけで無造作に入れてきた。
横柄な態度はめずらしいことじゃなかったけれど、まったく観察をしないことに訝しさを感じてはいた。
わたしを買う男たちは、物珍しさからしばらくは目で犯す。
隅々まで眺めてから、最後に指で開いて、性器の奥をじっくりと確かめる。
全然できそうにないスリットの奥に暗い空洞を見つけて、悪魔の笑みを浮かべる。
その穴を無理矢理塞ぐ自分の姿を脳裏に浮かべて酔い痴れ、それから思いつくままに嬲りはじめる。
ほとんどの男がそうする中で、あの男はそれをしなかった。
なにか違う目的があるのかもしれない。
うつ伏せでお尻から犯されながら、わたしはぼんやりとそんなことを考えていた。
堅くなったものを何度も奥深くまで差し込まれた。
ぐいぐいと入れてきて、それはまるで動きを封じるために楔を打ち込もうとしているかのようだった。
髪を鷲掴みにされ、乱暴に唇を貪られているときに、不意に口移しで何かを飲まされた。
力ずくであごを掴まれ、吐き出すことはできなかった。
あいつは、わたしの口を塞いだまま、激しく腰を叩き続けた。
ニヤニヤと笑うあいつを下から眺めているうちに、次第に皮膚の感覚が敏感になっていき、逆に意識はぼんやりとかすむようになって、なにか得体の知れないクスリを飲まされたと気付いたときには遅かった。
やがて自分を制御することができなくなり、何度も深い波に呑み込まれて、わたしは途中で意識が途絶えた……。