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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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重丸の苦悩-4



9年前……。

青森県警本町署の緊急警報監視盤に、突如、発報を知らせる警報音が鳴り響いたのは、まだ、真夏の太陽が燦々と降り注ぐ、昼下がりのことだった。

通報の内容を示すデジタル表示板に、「K187」の赤い文字が浮かび上がり、それが「Knifeによる殺人」を意味する秘匿コードである、とすぐに理解したオペレーターは、かすかな緊張感を覚えながら、すぐさま緊急広域追跡用に開発された「NSWシステム」の端末に向かうと、所定の操作を開始した。

本町署の刑事部捜査第一課および特別機動捜査隊待機ブースに、事件発生の事実が直ちに通報され、まったく同じ内容の指令が、警ら中であったすべてのPC(パトカー)へと伝達される。
NSW小型携帯端末によって、事件発生位置を小さな液晶画面に確かめたPCの中で、近傍を走行中だった車両は、直ちに赤色灯を回転させ、けたたましいサイレン音を響かせながら、現場へと急いだ。

本町署生活安全部のオフィスにいたシンドウは、急に署内が慌ただしくなり、大きな事件が発生したのを予感したが、その時には、まだ自分がその事件に関与することになるとは思っていなかった。

しばらくして、緊張した面持ちの係長から呼ばれて、「すぐに出る支度をしろ……。」と、告げられた時、シンドウは、この事件に未成年者が関与していることを直感して、にわかに緊張の色を強めた。

事件発生現場は、本町の繁華街外れにある「インペリアル青森ホテル」
地上10階建ての中規模ホテルには、すでに何台かのPCが横付けされていて、正面の玄関には、マスコミ対策用の見張り要員も立てられていた。

係長とシンドウ、そして同じ生活安全部の少年犯罪課に所属する女性警察官の3名で、「青森県警立入禁止」と書かれた黄色い帯をくぐって玄関に向かうと、なぜか一課の刑事が出迎えに来て、少なからずシンドウを驚かせた。

刑事部捜査第一課は、言わば警察内部でもエリート集団であり、昇任試験、推薦、並びに適性審査と数ある難関を突破した者だけが配属を認められる特異部署である。

それに比べれば、生活安全部は、地域密着型の雑事的な事件を担当するポジションでしかない。
そこに所属する彼らを一課のデカが迎えに来るなど異例でしかない。
だが、この刑事の出迎えは、それだけ複雑な事件であろうという事を、シンドウに想像させるに十分だった。

刑事の案内で、エレベーターで5階へと向かい、長い廊下に足を向けると、その先で機動鑑識課員が慌ただしげに動いているのが見えた。
あそこが現場かと、先へ向かおうとした時「お前らは、こっちだ。」と、案内してきた刑事は、違う部屋を指さした。
その指さした部屋の扉を開いて、視線の先にあったものを見たとき、シンドウは絶句した。

正面に、ぼんやりと佇んでいた、あどけない少女。
その低い背丈から、年の頃は、まだ中学生にも見えなかった。
おそらく服を着ていないのだろう。
白い素肌に白いシーツだけを掛けられ、腰のあたりまで伸びた長い髪は、まるでビーナスの姿を思わせもしたが、彼女の顔一面は血にまみれて真っ赤になっていた。

血は、顔ばかりでなく、腕や細い足も赤く染めていて、髪までが血に濡れており、大量の出血は、もはやこれが、たんなる傷害事件ではないことをシンドウにすぐに悟らせた。

少女は、自分の足で立っているのだから、大きな怪我をしているとは、思えなかった
だが、つぶらな瞳は、シンドウ達に向けられているものの、その瞳の中には、まるで何も映っていないかのようであり、少女が放心状態になっているのが、すぐにわかった。

少女は、血まみれの手で、大きな包みを大事そうに身体の前に抱えていて、シンドウは、彼女を刺激せぬように、ゆっくりと近づいていくと、抱いていた包みを上からのぞき込んだ。

目があった途端に、その物体は無邪気に笑い、シンドウを唖然とさせた。
まだ乳飲み子でしかなかった赤ん坊。
少女と同じように、つぶらな瞳をした赤ん坊が、シンドウを見あげながら嬉しそうに笑っていたのだ。

シンドウは、すぐに女性警察官を呼んで、少女の手から、その赤ん坊を取り上げようとした。
およそ尋常と思える状況ではなかった。
だが、少女は、赤ん坊を腕から離そうとしなかった。
取り上げようとすると、ぐっと腕に力を込めて、赤ん坊を抱え込んでしまう。
瞳は、生気のないままだった。
女性警察官が呼びかけても、返事どころか反応さえもしなかった。
しかし、赤ん坊だけは、何度取り上げようとしても離さなかった。



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