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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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忍び寄る影-6



たった一度だったが、夢のようなデートだった。
彼女は、まだ高校2年生でしかなかったが、とても大人びていて、そのウィットに富んだ会話は、歳の差など、まるっきり感じさせはしなかった。
シノが、もうすぐ、この地を離れることは知っていたから、ひどく彼女が愛しくてならなかったし、同時に、切ないほどに寂しくもあった。
夕方になり、彼女との別れの時間が迫ってくると、自分でも落ち着かなかった。
夕暮れ時の河川敷を、何も話さずに、ふたりで、ただ黙々と歩いた。
こんな時に気の利いた会話のひとつも思い浮かばない自分が情けなかった。
前を歩いていたシノが、不意に立ち止まり、振り返って笑顔を向けたときには、その意味がわからなかった。

「もうすぐ、お別れですね。」

彼女は、楽しそうに笑っていた。
ゆっくりと近づいてきて、すぐ目の前に立った彼女は、澄んだ瞳でじっと見上げてきた。

「記念に、何か欲しいです……。」

甘えるようにそういった彼女は、顔を上向かせ、静かに瞳を閉じた。
突然のことに足は震え、夢か現実かもわかりもしない中で、そっとシンドウは、彼女に口付けた。
わずかに触れただけの、それは頼りないキスだったが、それだけで十分だった。
シノは、嬉しそうに笑っていた。
そして「私も、シンドウさんに記念品をあげます……。」と、言った彼女は、つま先で立つと、首に腕を絡ませながら熱い口付けを交わしてくれたのだ。
夢中で細い背中を抱いて、折れるほどに抱きしめた。
もう、これだけで思い残すことはなかった。
あれほど、焦がれていた天使がキスをしてくれたのだ。
それ以上など、望むべきもない。
だが、それだけでは、終わらなかった。

「まだ、足りないです……。全然、足りないです……。だから、全部あげます……。」

耳元で熱い吐息と一緒に切なげに囁いた彼女は、「あそこに行きましょう。」と、東の空を指さした。
そこには、煌煌とネオンの瞬くホテルが、丘の上に誇らしげに建っていた……。

シノは、初めてだった。

「浮気しちゃダメですよ。」

数日後、彼女は、笑いながらそう言って、列車に乗って旅立った。
重丸先生は、知らない。
というか、言えない……。
春雷重丸の娘に、あの天女に手を出したなどと、知られたら、それこそ先生のみならず、周りの奴らにまで殺される。
だから、ひっそりとふたりで愛を育んできた。
今度、一緒にディズニーランドに行く約束もしている。
その日付を教えるのが、今日だった。
唐突にシンドウは、それを思い出した。

何をしている!?彼女に伝えれば、それで済む話じゃないか!

シンドウは、まだ理解していなかった。
それが、シノではなく、もうひとりの娘を狙っているのだということを。
シンドウは、ケータイの中に「天女」の文字を探した。
見つけて、すぐにボタンを押した。
数回のコールの後に、愛しい天女の声が返ってきた。

「もしもし……。」

「シノ!すぐに逃げろ!!」

「えっ?……」

「今すぐに、逃げるんだ!!」

「えっ、どうして?」

「何でもいい!!今すぐ君は安全な場所に隠れるんだ!!そして、すぐに重丸先生を呼ぶんだ!!」

「お父さんを?……」

「そうだ!!重丸先生に伝えろ!!シンドウがすぐに連絡を欲しがっていると!!」

「お父さんに、そう伝えればいいの?」

「そうだ!!!」

「じゃあ、お父さんに替わるね。」

えっ?



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