投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

可愛い弟子の最初へ 可愛い弟子 180 可愛い弟子 182 可愛い弟子の最後へ

ヨーダとシノ-2



「うるさいよ。死んでないから。」

シゲさんに睨まれた。

あ、……そうなんですか?

まったく動かないので、てっきり、逝かれたのかと思いました……。




見つめる視線の先に、穏やかに眠る野呂課長の姿があった。
まだ、病院の中。
レンと違って、ちょっと小さめの個室。
シゲさんとふたり並んで、眼下に横たわる小柄な影を見つめていた。

「軽い暑気あたりだそうだ。ここのところ暑い日が続いたからな。
 きっと、それが堪えたんだろう。
 夕方、自宅で倒れたと奥さんから知らせを受けて、それで慌てて駆けつけたんだ。」

「だからケータイを?」

「ああ、病院の中じゃ、マナーモードでもマナー違反だからな。」

シゲさんがケータイに出なかった理由。

なるほど。

「それで、……お前は、どうしてここに?」

「ああ、友達が入院しちゃって、それで……。」

勢いあまって、手首を切った友。
複雑な家庭環境に育ち、妹を助けてやることが出来なかった。
やり方は正しかったわけじゃないけれど、自暴自棄になった妹を守ろうと、アイツはアイツなりに必死だった。
今頃は、奥の角部屋で、その妹のために必死になってる真っ最中。
意外とタフだなお前。
もう、逝かれましたかね?
妊娠だけは、気をつけろよ〜。

「そうか……。」

オレの答えに、シゲさんは、ポツリとつぶやいただけだった。
珍しく、精彩のない顔をしている。
野呂課長を見つめる眼差しには、ありありと不安の色が窺えた。

「軽い暑気あたり……なんだよね?」

あまりの心配そうな顔つきに、不安になって、もう一度確かめた。

「ああ、確かにそうなんだが、野呂さんは、心臓も悪いんだ。前にも一度、倒れたことがある。それが理由で……。」

そこまで言ったところで、シゲさんは、急に口を閉じた。

「それが理由で、……なに?」

「いや……なんでもない。」

出たよ……。

なに?オレに隠し事するのがあなたの中で流行ってるわけ?
野呂課長の心臓が悪いなんて、初めて聞いたよ……。

「ところでさ、シゲさんに訊きたいことがあるんだけど。」

場所柄、相応しい話題とも思えなかった。
だが、シホという女の不可解さが、オレを性急にさせていた。
それに、早く帰らないと、アイツらをふたりだけにしてしまう。

「なんだ?」

シゲさんの顔つきが変わる。
銀縁メガネがキラリと光った。
オレの訊きたがってることなんか、シゲさんには、すっかりお見通しらしい。

「あ、あの……シホさんのことなんだけど……。」

鋭い眼に睨まれて、急に弱気になってしまうオレ。

「シホの?シホの何が訊きたい?」

逆にあちらは、強気な口調。

「う、うん。……あのさ、彼女っていったい……。」

何者なの?と訊こうとしたところで、不意に後ろの扉が開く音。
同時に、ふわりと飛び込んできた甘い匂い。
振り返ると、花瓶を両手に携えた美少女が立っていた。
花瓶には、色とりどりのガーベラ。

「あら?タカさん?」

見覚えのある顔が、懐かしそうに微笑む。


可愛い弟子の最初へ 可愛い弟子 180 可愛い弟子 182 可愛い弟子の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前