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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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裏切りの男-7



青森シェラトンホテル地下駐車場。

「カズ、約束は守れよ。」

「ああ、だが、いっちゃんも俺を裏切るんじゃねえぞ。本当なら、取引が済んでから返すもんなんだ。先に返したんじゃ取引にならねえからな。いっちゃんだから、返すんだ。それを忘れるな。」

いっちゃんとカズ。
それが、昔からのふたりの呼び名。

「3日後だ。3日後に例のブツは返す。」

「ツグミに持って来させろ。」

「なぜだ?」

「あの子に話したいことがある。」

「また、説教か?無駄だとは思うが、いっちゃんがそう言うなら、ツグミに持たせてやるよ。」

「貴様、自分の娘にあんなことをさせて恥ずかしくないのか!?」

精一杯凄んで見せたが、和磨は、可笑しげに笑うだけで堪えた様子もない。

「人の娘より、自分の娘の心配をしたらどうなんだ?そろそろいい年頃だろう?」

和磨の顔に薄く笑みが浮かぶ。

娘?
シノか?
いや……コイツが言ってるのはシノじゃない。
和磨はシノを知らない。
卒業以来、和磨との交流はない。
だが学生時代、ふたりで夜更けまで飲み明かし、思わずこぼしてしまったことがある。
コイツのいっているのは、もうひとりの俺の娘……。


「あの子は、まだ子供だ……。」

重丸の中で、確かに、もうひとりの娘は、まだ幼い子供のままだった。
顔も見たことのない娘。
誕生日だけは知っている。
だが、それだけだ。
後は、何も知らない。
知る前に、彼女は消えてしまった……。

「どうしても、ツグミを自由にするつもりはないのか?」

「ああ。」

ライターが見あたらないらしく、和磨はスーツのポケットを手探りで探している。

重丸は、自分のスーツのポケットに手を伸ばした。
タバコを掴んだ手のひらに、一緒に握った小さなビニール袋。
中身は、先生から借りてきた白い粉。

もはや、何を言っても無駄か……。

ポケットからタバコを取り出そうとして、ライターがこぼれ落ちる。
それを拾う振りをして、足元のマットの下にビニール袋を押し込んだ。

「ほら」

拾ったライターで、和磨の前に火をかざす。
和磨が、にやりと笑った。
重丸もタバコをくわえると、ふたりは、ひとつの炎で火をつけた。
思い出を吹き消すように、紫煙を大きく吐き出していく。
ふたりは、タバコの煙を燻らせながら、ぼんやりと正面を見つめていた。
互いに、目を合わせようとはしなかった。

「いっちゃん……。」

和磨が沈黙を嫌うかのように口を開く。

「ん?」

振り返ると、非道な悪行に手を染めるかつての親友が、真剣な眼差しを向けていた。

「俺を裏切るなよ。俺を裏切ったら、たとえいっちゃんでも承知しねえからな。それを、忘れるな。」

重丸は、答えなかった。
ただ、じっと和磨の顔を見つめていた。

「3日後だ。3日後にツグミに持って行かせる。」

それだけを言うと、和磨は、もう話すことはないと言いたげにキーを回して、エンジンに火を入れた。

重丸は、車を降りた。
真っ黒なベンツが、重厚な咆哮を響かせながら、去っていく。
その後ろ姿を見送りながら、重丸はつぶやいた。

「悪いなカズ……。裏切らせてもらうぞ……。」



3日後、約束通りビデオは重丸の元に届けられた。

「黒のベンツAMGだ。助手席のマットの下にある。ナンバーは……。」

その翌日、和磨は警察の一斉検問に引っかかり、麻薬の不法所持で逮捕される。

そして、さらに数日後、ツグミも、この街から姿を消した……。




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