見えない正体-27
ふん、だいぶイイ声で泣くようになったじゃねえか。
和磨は、モニターのひとつを眺めていた。
モニターに映る影は6つ。
白黒のモニターでも、わかる浅黒い肌。
それが四つ。
そして、白い肌がふたつ。
白い肌のひとつは、小さい。
トリの野郎、だいぶ入れ込んでやがるな……。
無理もねえ。
元は、姉御だ。
そして、その娘だ。
奴らにしてみりゃ、殿上人だ。
下克上の炎ってやつかい?
ここにふたりを連れ込んでから2週間。
毎日が性交だ。
寝ても覚めても、誰かが、ふたりに跨ってやがる。
ほとんど狂いかけていた。
もしかしたら、もう、娘の方は狂ってるかもしれねえ。
三隅、もうしばらくしたら、コイツらを返してやるよ。
もっとも、すっかり壊してからだがな。
男たちは、倖田組の若衆。
トリヤマは、若頭。
元は、黒滝の舎弟。
黒滝の死の真実は、もはや倖田組の中では、公然とした噂だ。
事実を知って、三隅を快く思わない者は多い。
トリヤマも、そのひとりだ。
「腹心の舎弟を3人集めろ。」
そして、トリヤマが連れてきた男たちが、この3人。
舎弟は4人が一番動きやすい。
それに、俺の好きな数字だ。
なんつったって、「三」の上だからな。
あの三隅のクソ野郎の上に立ってやる。
必ず……。