回天-3
痛いことはしないだと?
頭をハンマーで殴られたような衝撃があった。
一度よぎった不安が頭から離れない。
痛いことをしないというのは、逆を言えばそれ以外のことはされているということだ。
タケルは、おもむろにベッドを下りると部屋の灯りをつけた。
すぐさまベッドに戻ってミナの縛めを解いていく。
ミナは何をされるのかと、脅えた表情を向けたままだ。
タケルは、膝で立ちながら骨張ったいだけの華奢な肢体を見おろした。
胸はわずかに尖るだけで、陥没したように引っ込んだお腹の上はあばらが浮いている。
手足は細くて針金のようだった。
お尻なんて笑ってしまうほど小さい。
この身体を弄んだやつがいる。
無言のままにミナの脚を開いた。
下着の上から、顔を押しつけた。
かすかなアンモニア臭が鼻孔にたちこめる。
ミナの匂いだった。
その匂いを嗅ぐだけで、泣きたいほどに安堵する。
細いももを握って開いたまま、ぐいぐいと顔を押しつけた。
めり込むほどに鼻を潜らせて、胸一杯に何度も吸い込んだ。
「やあ……」
ミナが羞恥に首を振る。
ここはタケルだけのもののはずだった。
「いったい、なにされてたんだ?」
それが知らぬ間に、見知らぬ男のオモチャにされていた。
たぶん、そうだ。
「チカちゃんと一緒に……」
「一緒に?」
「体を舐めてもらって」
「それから?」
「アソコとお尻を……」
「どうしたんだ?」
「ひ、ひろげてもらったの……」
股に顔を埋めたままだった。
タケルは、頭上にミナの声を聞いていた。
タケルは、のそり、と上体を起こした。
顔に表情がなかった。
ミナの脚を揃えて抱え、お尻から剥がすように下着を脱がせていった。
足先から脱がしてしまうと、今度は膝の裏を押してミナの脚を開いた。
体重を掛けて裂けるほどに拡げた。
ミナの性器がかすかに開いて、なかを覗かせる。
以前、見たときと変わらない。
そこは、初々しいほどになにも知らない、無垢な性器のままだった。
「どうやって拡げた?」
かすかに声が震えていた。
「そ、それは……」
「いえ」
タケルの声が暗い。
「ゆ、指とか、バ、バイブとかで……」
ミナの声も震えていた。
雰囲気からタケルが怒っているのを悟ったのだろう。
バイブだと?……
「そんなもんまで使われてたのか?」
「ほ、細いのだよ、お尻用のだって、いってた……」
慌てる素振りは罪悪感があるからだ。
「お兄ちゃんのここに、そんなもんまで使わせてたのか?」
胸が潰れそうになっていた。
「だって……」
「だってじゃねえ!!」
怒気を含んだ怒鳴り声に、ミナがたちまち身を縮こませる。
チカという少女が悪戯していただけならまだいい。
だが、父親までが加わって、この身体を弄んでいたなら赦せない。
性の知識にまったく疎かったミナが、バイブという言葉まで知っている。
それは彼女が、タケルの想像をはるかに超えた領域に足を踏み入れていることを物語っている。
軽い目眩さえ感じていた。
いったい、自分はなにをしていたのかと悔やんだ。
「その親父のを、挿れられたのか?」
まさかとは思ったが、何をされたのかわからない。
ミナは、強く首を横に振った。
「オ、オジ様は、チカちゃんだけだよ、ミナにはヘンなことしないもん」
必死に訴える声に嘘はないように思える。
タケルの体から力が抜けた。
ホッとしたまま、眼下にある無毛の性器を眺めた。
裂けるほどに脚を開いている。
お尻の穴までが丸見えになっている。
申し訳程度に開いた割れ目が、かすかに濡れ光っていた。
まだ汚されてはいない。
だが、確実に調教はされている。
タケルは吸い込まれるように、そこに顔を埋めていった。
鼻を潜らせた。
鼻先に、にちゃりとした、ぬめりがあった。
鼻を潜らせたまま匂いを嗅ぐと、今度はアンモニア臭だけではない匂いが、かすかにした。
タケルが教えた匂いではない。
それが、腹立たしかった。