回天-2
下着のなかに手を入れたままだった。
股の部分はこんもりと盛り上がり、膨らんだ白の厚手の布地は絶え間なく表面の形を変えている。
「だって……」
「だってじゃないよ」
タケルの手のひらに触れる股間は、まだ硬い。
ぞくり、とするほどの滑らかさはある。
だが、すべすべの肌の下は、ギチギチに軋む硬い骨の感触しかない。
股間を鷲掴みにしてみると、それがよくわかる。
「まったく勝手なことばかりして」
この骨は、すぐに折れる。
それほど頼りないミナの身体でしかなかった。
「それで、お兄ちゃんは、いつそのチカちゃんの家に行けばいいんだ?」
こんな少女のなかに埋没させているという父親に興味を覚えた。
まだ5歳の頃から貫通させていたのだという。
信じられないことだが、ミナの言葉に嘘があるとは思えない。
自分でも驚くほどにペニスは膨らみきっている。
ミナを欲しがって爆発寸前のペニスは、まさに肉の凶器と化している。
こんなものをミナのなかに押し込めば、間違いなく彼女の股関節は外れて、膣だって破壊されることになるだろう。
どうすればいいのかわからないのが、正直な気持ちだった。
時間をかければ、なんとかなるのかもしれない。
だが、それだって確証があるわけではない。
先人がいるのなら、それに倣うのは道理だ。
「おにいちゃん、一緒にいってくれるの?……」
意外そうな顔が向けられていた。
「一緒に行って欲しいんだろ?」
頬杖をつきながら、見おろしていた。
ミナの顔に、どこか安堵したような表情が拡がった。
チカの話しをするとき、ミナの胸は息づき、ぴたりと合わせる肌はわずかに火照って、じっとりと汗ばんだ。
思い出しているのだった。
チカに逢いたくてたまらない。
そんな感情が、ミナの向ける表情に透けて見える。
埋めた指の先が、水でないものでわずかに濡れていた。
「うっ……おにいちゃん、だめ……あはっ!」
わずかに湿りだした体液を指の腹にすくい取り、それをクリトリスに塗りたくる。
潰すようにこねると、ミナの顔が歪む。
たった数週間前までは、濡れることなど知らない、ただの未熟な割れ目でしかなかった。
それが今では、男を受け入れる準備までしようとしている。
「こんなにいやらしいオマンコになっちゃって」
秘裂をなぞる指が、かすかに湿るのが腹立たしかった。
自分ではない誰かが、この身体に触れ、そして精神を変化させて、肉体をも変えた。
「お兄ちゃんの「ここ」を何回触らせたんだ?」
ミナを捕らえた今日までに、かなりの時間を要していた。
タケルが手をこまねいているあいだ、ミナが一度もチカの家に行かなかったとは考えにくい。
「お前の大好きなチカちゃんに、何回触らせたんだ?」
チカという少女に対して、ミナはかなり傾倒している。
ミナは、それからもチカの家に行ったに違いないのだ。
タケルの見つめるミナの表情が、それを如実に物語っている。
ミナは、辛そうに眉根を寄せて顔をしかめながらも、ふっくらとした唇から吐き出される息は熱かった。
あごまで仰け反らせて切なさを訴える表情は、まさに女の喘ぐ仕草そのものだ。
埋める指先の潤みは次第に強くなっている。
タケルとの経験だけで、これだけ早い芽吹きは起こらない。
だが、タケルではない誰かが教え込んだのなら話しは別だ。
「何回チカちゃんチに行った?」
「や、休みの日は……ぜんぶ……」
「ああっ!?」
意外な回数に驚いた。
土日だけと考えても、5,6回は行っていることになる。
「父親も一緒だったのか?」
ミナは、申し訳なさそうに肯いた。
「まさか、お前……」
嫌な予感が脳裏をかすめた。
自分の娘に嗜虐的変態性交を強いるような父親だ。
他人の娘ならば、なにをしてもおかしくない。
「だ、大丈夫だよ、オジ様はチカちゃんにしか興味がないから……」
ミナは、タケルの表情から察したらしい。
「おじさま?おじ様ってお前、妙に馴れ馴れしいな。その父親が嫌いじゃなかったのか?」
確か、そんなニュアンスだったような気がするが……。
「き、きらいなじゃないよ」
はあ?
「して、その心は?」
ミナが戸惑い気味の顔を向ける。
「ミ、ミナには……痛いこと、しないから……」