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幼肉の宴
【ロリ 官能小説】

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回天-1

15

夜が深い。
闇が濃かった。

まだ、階下に、ひとの動く気配はない。
耳を澄ましてみても、家のなかは、ひっそりと静まり返ったままだ。

いったいどこへ行ったのか……。
タケルは、胸中でつぶやいた。

母の帰ってくる様子が、ない……。






「それで?」

「お、お母さんに、迎えに来てもらうまで、チ、チカちゃんと…」

「いけないことをしていたわけだ」

タケルの見つめる先で小さな頭はゆっくりと肯いた。

「ふうっ……」

まったく、溜め息しかでてこない。

まだ10年と生きていない少女ふたりが、薄い胸を合わせながら淫らな秘め事に興じたという。

「いったい、なにしてんだか……」

めずらしいこととは思わなかった。
中学時代、同級生の家に遊びに行って、タケルは似たような光景を目にしたことがある。

その同級生には、ミナと同じ年頃の妹がいて、彼女は、やはり遊びに来ていた友達の女の子と下着姿になって遊んでいた。

女の子には誰にでも変身願望がある。
そのときの彼女たちは、肌の透けるようなネグリジェを着て、顔にも派手な化粧をしていた。
きっと、母親の下着やメイク道具を勝手に使って遊んでいたのだろう。

ふたりはベッドに身体を横たえながら、互いの顔をうっとりと眺めあい、しきりに、きれい、と褒めあっていた。

ミナが経験したというほどの濃厚な絡みではなかったが、確かにふたりは抱き合いながら、肌が透けるほどの薄い生地の上から未熟な肢体に触れあっていた。

それは単にじゃれ合っていただけに過ぎないのかもしれないが、互いを見つめる眼差しには、子どもとは思えないほどの、ぞくり、とする粘い光があった。

もちろん、タケルの目の前でしていたわけではない。
妹の部屋の扉がわずかに開いていて、そこから覗き見えたのだ。


女の子には誰にだって、そういったことをしたがる時期がある。
ままごと遊びの延長のようなものだ。

彼女たちは、いつだって大人になりたがっている。
ミナの場合は、相手がなまじ経験者だっただけに、あっという間に引き込まれていったのに違いない。
旱すぎる喪失の危機に戸惑いを覚えていたことも影響したのだろう。

思いも掛けず似たような経験者が現れ、その助言を盲目的に信じた。
同じ境遇者の存在が心の指針となり、彼女の導くままに幼い肢体を開いて、経験したことのない世界へ引き込まれていった。

秘密の共有が連帯感を生み、過度な感情移入を誘発させる。
互いの薄い胸に触れ合いながら、恋人を得たような気持ちなったのは、それだけチカという女の子がうまく誘導したからだ。

彼女は、最初からミナを引きずり込むつもりだった。
タケルには、そう思えてならない。

「怒って……る?……」

泣き出しそうに見上げる瞳に、脅えの色が濃い。

「怒ってるよ」

ぶっきらぼうに答えた。

中2の修学旅行の際、その同級生は消灯後の暴露大会で、件の妹にオナニーの手伝いをさせていると白状した。
手や口を使って手伝わせているのだと吹聴してしまったのだ。

気心の知れた仲間同士、しかも、深夜の暴露大会だ。
下ネタばかりに話しが集中して、みんなが競うように自虐ネタを披露しあっていた。
彼は、誰よりも衝撃的なネタを提供して一躍トップに躍り出たつもりが、結局それが徒になった。

妹を性的に利用する変質者とレッテルを貼られて、彼はイジメの対象となり周囲から友人が消えた。
そのうち学校へも来なくなり、彼を気にするものは誰もいなくなった。

可愛らしい顔をした妹だっただけに彼の気持ちもわからなくはない。
思えば、タケルの性的嗜好を決定付けたのも、彼の妹だったような気がする。

同級生の彼も、あの妹の悩ましい姿に魅了されて思わず手をつけてしまったのだ。

だが、良識に反することなのだから、ひっそりと彼は行うべきだった。
決して、他人に知られていいことではない。

だから、タケルは家族にさえ知られぬように細心の注意を払ってミナに悪戯をしてきた。
それが、まったくの赤の他人に秘密を知られることとなってしまった。

その親子に自分の未来を握られたに等しい。
まさに、生殺与奪の権利を与えてしまったのだ。

「ほんとに、バカだねお前……」

与えたのは、この妹だ。



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