金曜日 1-2
ちづるは、3時まで仕事だった。
4時までの仕事の日は休憩があるが、
3時までの日は、休憩がない。
仕事が終わり、パート仲間の主婦と
更衣室でお喋りをしながら着替える。
その主婦は「娘が熱出しちゃったから、保育園にすぐ行かなきゃ。」
と言いながらパタパタと出ていった。
更衣室の隣の休憩室でちづるは
1人イスに座る。
木のテーブル。
5つのイス。
休憩室はちづるの好きな場所だ。
テーブルの上のお菓子の缶のケース。
ケースの中、小さなメモに、
「川越に遊びに行ったお土産です。
食べてね。 店長」
と、書かれてある。
小さなお煎餅の袋を1つ取って
開けて食べる。
「ん、、美味し 、、 」
食べながら窓の外を眺める。
「 あ、雨あがってそう、、、
良かった。」
まだ雲は多いが、雲の間から太陽の光が射し込んでいる。
お煎餅を食べながら、
しばらく空を眺めていた。
食べ終わると上着を着て、
バッグを持つ。
バッグからスマホを取りだす。
スマホの着信ランプが点滅している。
見ると、タクミからラインで
メッセージが入っている。
【今日も行っていい?】
送信した時間は12:30だった。
ちづるはすぐに返信する。
【うん(*^^*)
本当は約束、今日だったもんね。
ワガママ聞いてくれて、ありがとう。
授業、眠くなかった?】
すぐに既読がつく。
【大丈夫ー。
あのさ、夕飯リクエストしていい?】
【いいよ♪ 何?】
【グラタン食べたい。
前に、作ってくれたやつ。】
【うん(*^^*)分かった、作るね!
来るのは6時ぐらい?】
【ありがとー。
うん、それぐらいに行く。】
【じゃあ、待ってるね☆】
その後にちづるは、
バイバイのスタンプを送る。
タクミからも、
バイバイのスタンプが入った。
「、 、 、ぁ、そっか 。」
タクミ君、、 、
夕飯のリクエストを
したかったから、お金払う、
とか、言い出したのかな。
別に、言ってくれれば
作るのに 。
『先生には、おごってもらうのに、
俺からのご飯代は受け取れないの?』
それとも、
男の人のプライド みたいな?
18才は 男の人、か 、、。
ちづるは、タクミの事を想い、
また空を眺めて、ふっと笑った。