歪曲-11
どれほどの時間、淫靡な行為に耽っていたのか。
気がつけば、辺りはすっかり日が落ちて、暗くなっていた。
ミナの目の前にチカの顔がある。
チカは目を閉じていた。
長い睫毛が伏せられている。
ミナの頭を大事そうに抱え込んでいる。
唇を重ねあっていた。
もつれるように絡ませる舌は、いつまでもとまらない。
ミナも、静かに目を閉じていた。
眠ってしまいそうな陶酔感があった。
絡みつくチカの舌が、眠ることをさせてくれなかった。
眠りたくなんかなかった。
もっと、チカの舌が欲しかった。
いっぱいチカに舐めてもらいたくて、ミナも一生懸命に舌を伸ばしつづけた。
はあはあ、と熱のこもるふたりの息づかいだけが、部屋のなかに聞こえていた。
「やっぱり、いやらしいじゃん……」
ようやく唇が離されて、ふたりは見つめ合った。
チカは、ミナの頬を手のひらにとって大事そうに撫でていた。
意地悪そうな眼差しは、相変わらずだった。
でも、ミナを見つめる瞳のなかに深いほどのやさしさがあった。
その瞳に見つめられているだけでミナは泣きそうになった。
潤んだ瞳でチカを見つめ返した。
「ほんとにミナはいやらしい子なんだから……」
意地悪な瞳が笑っていた。
ミナに返す言葉はなかった。
いやらしいといわれても仕方のないことをしていた。
夢中になってチカのアソコを舐めた。
アソコだけじゃなくて、身体中を舐めた。
目の前にいる女の子が愛しくて、その素敵な身体を自分のものにしたくてならなかった。
求められてもいないのに、自分の欲しがるままにチカの身体中を舐め尽くしていた。
チカもミナの身体を舐めてくれた。
アソコだけじゃなく、お尻の穴まで舐めもらった。
嫌悪なんてしなかった。
恥ずかしさはあった。
でも、ミナは素直に与えていた。
チカが欲しがるなら与えるべきだと思った。
お尻の穴に指を入れていたチカの姿が脳裏にあった。
そこが可愛がってもらうべき場所なのだとわかったから、素直に与えることができた。
舌で舐められると、気持ちよくて、泣いた。
もっと欲しがるように自分からお尻を突き出しさえした。
指を入れてもらって、泣きながら気持ちいいと訴えた。
怖さなんて、なかった。
もっとしてもらいたくて、せがむようにお尻を差し出しつづけた。
チカにいやらしいと笑われても仕方がないことをしたのだった。
それほどミナは、経験したことのない気持ちよさに酔い痴れ、自分を見失っていた。
「どうだった?」
「うん……」
ミナは泣きそうな声を出した。
恥ずかしすぎて、いうべき言葉など見つからなかった。
答えなど返さなくとも、ミナの表情をみただけで、チカはわかってくれたようだった。
涙を拭うようにまぶたに唇を寄せ、その唇を滑らせながら、そっと愛しむようにミナの唇へと重ねてくれる。
ミナは顔を上向かせて、与えつづけた。
「暗くなっちゃったね」
チカの目は、窓の外に向けられていた。
「うちのほう、大丈夫?」
「うん……」
今日は母が仕事で遅くまで帰ってこない。
家には、タケルしかいない。
顔を合わせづらかった。
タケルは、きっと怒っているに違いない。
「じゃあ、うちでご飯食べてく?」
ミナは、素直に肯いた。
タケルに会いづらい思いよりも、チカと離れたくない気持ちが強かった。
「それじゃ、一緒に作ろうか?」
チカは嬉しそうに笑っていた。
外から差し込む光を浴びて、顔の半分を輝かせるチカは、とてもきれいだった。
「ほら、早く起きて」
ベッドから抜け出そうとするチカの手を、ミナの手が握った。
「あ、あのね……」
振り返るチカを、言いづらそうにミナは見つめた。
「その……さっきの、もう一回……してもらってもいい?」
「さっきの?」
チカが、きょとんとした目を向けた。
「あの……、おっぱい……こするやつ……」
いった途端に、ミナは恥ずかしそうに顔をうつむかせた。
「ああ」
合点のいったような顔になると、チカは再びベッドのなかに戻ってきた。
すぐにミナに身体を添えて胸を合わせてくる。
「これでしょ?」
ちょっと意地悪な目になって、ミナを面白がるように見つめていた。
チカは自分の胸を突き出すと、尖った乳房の頂点を、ミナの尖りの頂点へと擦りつけた。
「あ……」
「ほんとに、ミナはいやらしいね……」
チカの笑っているのが、たまらなかった。
「だって……」
チカの乳首の先が、ツーっと肌を撫でて、ミナの尖りの頂点にたどり着くと、くりくりと擦りつけられる。
乳首と乳首が擦れあうたびに、ゾクゾクとするような得も言われぬ気持ちよさを感じてならなかった。
アソコに触れられているときとは、また違う気持ちよさに、ミナは素直に翻弄されて、甘い吐息を漏らしつづけた。
チカが、すぐに唇を塞いできて、ミナも欲しがるように唇を預けた。
胸は、巧みに乳首をずらして、ミナの小さな尖りを擦りつけてくる。
「気持ちいい?」
訊ねられてもミナは目を開けることができなかった。
きっとチカは、意地悪な顔で笑っているのに違いないのだった。
「あんた、ほんとにかわいいね……」
髪に触れた手がやさしく撫でてきた。
「お兄ちゃんもだけどさ、わたしも欲しがってること、忘れちゃダメだからね」
頭を抱え込むようにして唇を塞がれた。
チカの手が掻きむしるようにミナの髪を乱暴に乱していく。
ミナは、薄い胸を押しつけるようにチカの背中に腕を回した。
わかってると、いいたげに、細い背中を抱きしめる腕に力を込めていった……。