〈変質者達の微笑み〉-9
『へへぇ〜、愛ちゃん観てたあ?亜季ちゃんのフェラチオは、なかなか気持ち良かったなあ〜』
聞きたくもない晴れやかな声が、愛の鼓膜を揺らした。
亜季を汚した張本人が、愛の監禁された部屋に戻ってきたのだ。
その憎らしい男の後ろのモニターには、いきなり口の中で破裂した生臭い汚液に噎せかえり、何度も唾を吐いては顔面にまで引っ掛かった白濁液を拭おうと藻掻く亜季が映っていた。
『ところで……愛ちゃんは何歳の時にオナニーしたの?』
『へへへ……なんか知らねえけどよ、怒っちまって教えてくれねえんだよなあ。『教えてくれたら亜季ちゃんに悪戯しない』って言ってもよ、てんで駄目だったぜ』
「………!!!」
あまりに軽い口調での問答の後、オヤジ達は愛の怒りと哀しみのごちゃ混ぜになった顔をジロジロと見た。
まだ闘志…というか、亜季に対する仕打ちに怒り冷めやらぬ愛の表情は激情の一言であり、それは更なる欲望を自ら招く結果となる……。
『一緒に行こうか?『愛お姉ちゃんから悪いオヤジ達を引き離す』って、亜季ちゃんと約束したしね?』
突然にして、オヤジ達はドアを開けて愛に背を向けて部屋から出ていった。
背中に何やら叫び声を浴びせられたが、オヤジ達は振り向きもしない。
『愛ちゃんを出汁にすりゃあ亜季ちゃんは思いのままさ。クックック……』
『そ、そうかあ……じゃあ僕もフェラチオして貰おっかなあ?』
『素直じゃねえ姉を持つと妹は苦労すんなあ?まったく……可哀想なんてモンじゃねえぜぇ』
「ま、待ちなさいよッ!?聞こえてるクセに無視する………」
悲痛な姉の叫びを遮断するようにドアは閉まり、そしてモニターの中には三人のオヤジ達の姿が映った……口元から目尻にかけて飛び散っている白濁液を拭えないままの亜季は、新たに現れたオヤジ達に怯えを隠せない……。
「やめてよ…やめてよぉ!!誰かッ…誰か来てぇッ!!」
姉の血を吐くような助けを求める叫びは、この孤独な空間ではなんの意味も成さない……愛の表情は哀しみと焦りに塗れ、そして無意味な涙が頬を転げた……。
「ひぎ…ひ…ヒック…亜季…亜季いぃぃぃッ!!」
絶叫は部屋の空気を揺らしただけで、すぐさま消えた……真っ赤なベッドに備え付けられた幼い少女に、オヤジ達は汚れきった食手を伸ばした……。