〈変質者達の微笑み〉-6
「あ〜〜〜〜ッ!!やめてぇッ!!やめてよぉ!!」
モニターの中の亜季は、長髪男のキス顔の気持ち悪さにギョッとし、唇を固く結んで顔を逸らした。
だが、そこに悲鳴はなかった……亜季は、唇を明け渡す事で愛を救えるならという思いと、言う事を聞かないと自分も暴力を受けるかもしれないという恐怖心に震えていたからだ……もちろん、こんな男との口付けなど絶対に嫌だという感情は確実に存在していたし、その三つ巴の思いに翻弄されて苦しんでいたのだ……鬼畜であるオヤジ二人も胸が痛くなるほどに、亜季の心は脆かった……。
{亜季ちゃ〜ん、こっち向いてぇ?愛お姉ちゃんを助けたいんでしょう?ンフフ〜……ほら、天井のカメラに映るように……『チュッ』…てしようよ……ね?}
「亜季ッ!?やあぁぁぁぁぁッ!!」
添い寝をするように覆い被さった長髪男は、脅迫の言葉を囁きながら亜季の髪を撫でて誘った……幼い少女は涙を流して嫌がりながらも従い……互いの唇は禁断の接吻を交わした……。
{ちょっとだけ口を開けて……舌を出してみてよ……怖くない…怖くないよぉ?}
{やッ!…お…お姉ちゃ…ぷぐ!?ぐ…むぅ!むちゅッ!}
「亜季がッ…あ…亜季がぁッ!!」
長髪男は横目でカメラに視線を送り、不敵な笑みを湛えながら舌を伸ばして、ネットリと絡めながら亜季の唇と舌をしゃぶり回した……それは凡そ少女のキスではなく、成熟した女の見せる情交の恥態のよう……。
「何なのよぉッ!?早くあの変態を亜季からッ…?はッ…早くッ…早く離してよぉッ!!」
長髪男は亜季から離れたと思ったら、今度はズボンを下ろしてパンツまで脱ぎ、その怒張した肉棒を亜季の顔に近付けた。
ある程度は性の知識を得ていた愛だったが、見るのも初めてな男性器のあまりなグロテスクさと、しかも其れが亜季に向けられてしまっている事に、その激しい動揺は隠しようもなかった。
{キャアァァッ!!おね…お姉ちゃん!お姉ちゃあんッ!!}
「だ…駄目よッ…駄目えぇ!!亜季にッ…亜季に近付くなあ!!」
当事者である亜季の方が、愛よりも動揺の度合いは激しかった……先端の包皮が捲れて赤黒く膨れ上がった亀頭に、ブクブクと血管が浮き上がる歪に捩曲がった棒……真っ黒く腐った“いなり寿司”のような陰嚢はモジャモジャと縮れ毛を生やし、外気に触れた温度差にグニャグニャと蠢いている……それは少女を性欲の捌け口に利用したいという変質者の欲望の権化そのものであり、純粋な亜季や愛が直視出来るような代物ではない……。