想い出のアルバム-11
(10)
年が明けて1月3日、叔父さんは彼女を連れてきた。そして親戚が集まった中で婚約者として紹介した。きれいな人だった。
「よろしくね」
その人に挨拶されて私は笑って頷いた。叔父さんを見ると気のせいか視線を逸らしてしまった。
(叔父さん、想い出のアルバムを閉じましょう……)
宴会の中で彼女が明日故郷へ帰省することを知った。そして明後日、叔父さんが彼女の実家に挨拶に行くという。それならばと、父のやや強引な勧めで今夜泊っていけという話になった。彼女は支度があるというので早目に帰り、後は『お嫁さん』の話で盛り上がった。
思いがけない展開になった。おそらく、最初で最後の機会が訪れた。……
(ぶつける……)
私は経験したことのない心の燃焼を覚えていた。
決めたことにためらいは起こらなかった。
その夜、いつもより早めにお酒を切り上げた叔父さんがお風呂に向かう姿を目で追いながら、私は静かな高まりを感じていた。
自分の部屋で叔父さんが部屋に戻ったのを確認した私はお風呂に入り、体を入念に洗った。叔父さんのため、ではない。
(自分のため……)
強く想いが込み上げてきた。
叔父さんには予感があったのだろう。私がドアを開けると、ベッドに横になった真っすぐの目が薄灯りの中に見えた。
ドアを閉め、私たちは無言で見つめ合った。部屋には暖房が効いていて暖かい。
私はパジャマのボタンを外した。下には何も着ていない。脱ぎ捨て、さらに下半身も下げて生まれたままの姿になった。湯あがりの火照りが残っている。
叔父さんは身じろぎもしない。エアコンの音だけが聴こえていた。風量は最大になっているようだった。
(私を迎えるため?……)
一歩足を踏み出した。
(ぶつける……)
叔父さんがそっと布団を捲り、そこには私を迎えるスペースがあった。
包まれた……。抱かれた……。叔父さんは、全裸だった。密着した肌の感触にたまらず私は押し付けていった。
「真弓ちゃん。……怖かったんだ」
私をすっぽり抱き抱えて言った。私は黙って叔父さんの胸に顔を押し当てていた。
「ぼくは、君の叔父だ。……それなのに……」
「そんなの、どうだっていい」
抑えた声ながらもはっきりと言った。
「だめなんだ、ぼくと君は……」
「わかってる」
自分でも信じられないくらい私は落ち着いていた。
「迷惑はかけない。わかってる」
「真弓ちゃん」
「あたし、想い出のアルバムを完成させたいの」
叔父さんは黙っていた。意味がわからなかったのかもしれない。
「叔父さんとあたしとの想い出のアルバム。叔父さん、お幸せに」
「真弓ちゃん」
「今夜はあたしの好きにさせて。明日からは全部、心の想い出にする」
言いながら、私は起き上がって叔父さんの上になった。
「真弓……」
「あたしの好きにさせて」
言葉の終らないうちに私の手は握っていた。叔父さんの体が強張った。
「好きにさせて」
(叔父さんもけじめをつける気持ちを持っていたのかもしれない。裸で待っていたのだから……)
掴んだペニスは手の中で一瞬のうちに硬くなった。
(すごい……これが……)
肉茎の弾力を感じつつ布団を剥いだ。
よくそんなことができたと思う。混乱はなかった。
「今日はあたしが……」
体を移動して指とは比較にならない太いペニスを咥えた。
「ああ、真弓……」
叔父さんの大きな体が伸び上がる。
(あたしが、舐めている)
舐め方など知らない。アイスキャンディーを頬張るみたいに舐め、顔を動かした。
「ああ、いい。……いけないよ、真弓」
苦しそうな声が洩れる。
(私を変えたのは、叔父さん)
咥えながら扱いた。叔父さんの呻くその昂奮が私に連動するように秘部が疼く。
ペニスは唾液塗れである。
「叔父さん、想い出よ」
私が重なって唇を押しつけるとキスをしたまま強い力で体勢が入れ替わった。合わせるように私はいっぱいに開脚した。『男』の体を股間に受けた形になった。秘口に触れたのは(ペニス)……。
上に重なった叔父さんが動きを止めたのはためらったにちがいない。
「今日、安全日よ」
叔父さんはたじろいだように見えた。
「ほんと?」
私の口からそんな言葉を聞くとは思わなかったのだろう。
「想い出でしょ?」
私は背中に手を回して引き寄せた。
「いいのかい?」
私は答えず、乱暴に股間を突き上げた。
(早く!)
叔父さんが手を下に差し込んだ。位置を整えたのか、割れ目に圧迫があった。
「う!」
ペニスが膣口を押し広げる。
「くう」
力が加わり、どっと突き刺すように、一気に、
「くく!」
挿入というより引き裂かれた感覚の後、ずんと胎内に鈍い衝撃があった。
「ああ、真弓、許してくれ」
「あううう!」
私は腰を突き上げ、『男』の胴体を挟みつけて痛みに耐えた。叔父さんが低い唸りをあげたのは程なくのことだ。『男』の痙攣が私を震わせた。
身を起こした『男』と力の抜けた『女』……。2人の息遣いが交錯していた。
叔父さんはティッシュで拭っている。無言である。秘部には挟まった感覚が残っている。
叔父さんは何も言わない。
(後悔しているのだろうか?)
そう思った時、力のこもった新たな想いが湧いてきた。
(まだ想い出にならない……)
安全日なんて知らない。そんなのでたらめだ。私の中にむらむらと強張った感情が膨れ上がってきた。それは、
(叔父さんに優しさがなかったから……)
想い出のアルバムは、まだ終わりにしない。先がある……。私は目を閉じ、性器から流れる液の温もりを感じていた。