タクミの疑問-1
12月23日の夜。
外は、雨が降っていた。
タクミは、ちづるの家でご飯を食べている。
タクミがふと言う。
「ねー。
今度、外でデートしようよ。」
味噌汁を飲もうとしていたちづるは、ピタリとその手を止めた。
「、、、え?
、、外? は、ちょっと、、。」
「なんで?」
「、、知り合いにあったりしたら、
怖いし、 、 。」
「何が?」
「、 、 どう言えばいいか、
とか、 、。」
「嘘つけば、いいじゃん。
仕事先の人で、今から他の皆とも会う、とか。」
「、 、 、 。」
「ね? しようよ。」
「、 、 んー 、 、
考えておきマス。」
「明日はクリスマスイブなのにー。
俺もちづちゃんも仕事なんてー。
つまんない。」
ちづるは笑って言う。
「飲食店もスーパーも、クリスマスは忙しいもんね。
バーミーはね、すっごく可愛いクリスマスケーキがあるんだよ!
去年もあったみたいで、今年のは、、、、」
タクミは、話を聞きながら、ふと、違う事を考える。
タクミにはずっと、ちづるに対してよく分からない焦燥感があった。
自分の中で、その理由を探す。
ふと、タクミは気がつく。
ちづるには、タクミの付き合ってきた女の子達と決定的に違う所があった。
それは、2人が会えない日に、ちづるがタクミの行動を把握しようとしない、という所だった。
束縛をする女とは付き合えないが、タクミの過去の彼女達は、ある程度、タクミの1日の行動を把握しようとしていた。
タクミの中で女とは、
『とりあえず、相手を把握しておきたい生き物。』
だと思っていた。
自分の行動を把握しようとしないちづるの事が、タクミにとっては不思議だった。
違和感、みたいな物を感じていた。