磯崎恵利子-1
☆☆☆epilogue☆☆☆
バージンレイプ後も、強いられ続ける関係に蝕まれ…… 望まぬ疼きに身悶える少女、磯崎恵利子。
これは、異なるかもしれない世界線…… 今より数ヶ月、遡ることの物語。
200○年 5月○日
(あの少女!)
千章の鼓動が速くなる。
早朝、駅の構内、まだ馴染まない制服に袖を通す少女に目を奪われる。
腰丈まである濡れ羽色の髪、※1)瓜実顔には、まだ少しあどけなさが残っている。
長いまつ毛に大きな瞳、薄く塗られたグロスのせいか、濡れたように見える唇はアンバランスに艶かしい。
(間違いない。二年前偶然見かけた、※2)佑香の面影を残す少女)
真新しいセーラー服を身に着けているところを見ると、今春入学したばかりの高校一年生であろう。
美少女の素養を十二分に感じさせながら、ほんの少しふっくらとした頬にどことなくアンバランスさを感じさせる。
それはおそらく同年代の少女同士であっても、異なりを見せる違い、まだ“おとこ”を知らない少女特有のものと言えた。
すらりと伸びる肢体、襟元からのぞく肌は白く繊細で、手足首も細く華奢な身体つきに見える。
(あんな少女を抱いてみたい…… )
暫し呆然と見つめる千章の視線に気づいたのか、少女は一瞬怪訝そうな素振りをみせ、視線を逸らすと逃げるように改札口へと向かった。
(しまった…… )
千章は無意識に、己の軽率な行動を悔いた。
少女に己の存在を認識され、印象、記憶へと残されたかもしれない事に。
それがこれから自分が行うであろう犯罪行為への妨げ、障害になりかねないであろうことへの危惧と言えた。
千章もあわててその場を離れたが、時すでに遅しと言った、後悔にも似た心情のみが残った。
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※1)瓜実顔(うりざねがお)・・・瓜のタネのような形で、色白で鼻筋が通り、やや細長い顔。古来より美人の典型的な顔の一つと言われる。
※2)佑香(ゆか)・・・石崎佑香(いしざきゆか)、強姦魔千章流行が少年時代に憧れを抱いた少女。