〜 技術その2 〜-1
〜 2番の特訓 ・ 技術その2 ・ 基礎 〜
シャッ、シャッ、シャッ。 【B22番】先輩は背伸びをしながら、ホワイトボードにたくさんの絵を書きました。『折れ曲がった金属製の定規』『先がとがった太い針』『のこぎり』『弓のような糸鋸』『かんな』『とんかち』エトセトラ。 ホワイトボードの左上から順番に、均等なイラストが並びます。 名前が分かるものが半分、微妙なのが半分といったところです。
手先が器用な人って、みんな絵が上手ですよね。 【B22番】先輩も例に洩れず、ポイントを押さえた分かりやすい絵だと思いました。
「多分、加工の実技は木工です。 本立てか、ブックエンドか、マルチスタンドってとこです。 だから、木工の基礎だけ教えます」
「私たちのときはマルチラックだったんだ。 2年続けて同じはない気がするから、今年は本立てあたりがくる気がするけどね」
「と思いきや、担当教官の気まぐれで、金属加工の『テープカッター』だったり、プラスチック加工の『メモホルダ』だったりするかもしれません」
「うん。 10年に1回くらいは木工以外がくるって聞いたことある」
「その時はその時です。 『マーフィーの法則』は万能なのです」
『マーフィーの法則』――確か『ピザを床に落した時は、具が乗っている方が下になる』みたいな、『心配するな。 明日は今日よりも悪化する』みたいな、何とも苦笑いするしかない法則です。 もし法則が正しいなら、今回の場合、私たちが対策した分野は実技に採用されず無駄に終わるわけですけど……。
そんな私の内心に頓着するわけもなく、【B22番】先輩は左上のイラストを指しました。
「そんじゃ『けがき』からいくです。 これは『さしがね』っていって、要するに直角に折れた定規ですね。 書く道具は金属なら『けがき針』を使いますけど、木材だったら『ただの鉛筆』でよくて――」
イラストは20個近くありました。 1つ1つ教わるなら、よっぽど気合をいれないと、教わる先から抜け落ちそう。 音楽や書道と比べ、技術は覚えることが圧倒的に多そうです。 どうせ手は使わせてもらえなくて、胸やら膣やら肛門やらで作業するんでしょうけれど……まともな知識であれ、卑しく恥ずかしい動作であれ、一生懸命にならなくちゃ覚えられないことには変わりありません。 感情とは関係なく、刺激されれば膣は分泌液を流します。 それと同じで、これから膣を使うんだと意識するだけで、私の持ち物は滴らせるほどには潤うのでした。
……。
@ けがき
材料に加工線を引くことを『けがき』といいます。 材木、主に板を机に置き、アルミ製の『さしがね』に合わせて鉛筆で線をひきます。 線の長さは工作品によってマチマチですが、『さしがね』を何度も移動させると線がぶれてしまうため、長さに合わせた『さしがね』を使います。
で、肝心の線の引き方ですが――予想通りというか予想外というか――膣は膣でも、使う持ち物は尿道口でした。 板の上に『さしがね』を合わせ、机にのぼって両足の裏で抑えます。 その上で鉛筆を尿道口に挿入し、屈んで下半身を動かしながら線を引くそうです。 鉛筆なので、抑えつけなければ線が引けません。 かといって息まずに抑えつければ鉛筆が尿道に喰い込むだけです。 なので、普段の訓練を生かし、おしっこを止める要領で尿道を締めながら線をひく……とのことでした。
肛門で書いても構わないそうですが、それだとお尻の穴を真下に向けなくちゃいけなくて、体勢的にキツイそうです。 膣に自信があるなら、膣で書いても構いません。 ただ、鉛筆みたいな細いものを膣で咥えて、その上で板に押しつけるとなると、十中八九支えきれませんよね。 ということで、消去法で大抵が尿道を使います。
なお『さしがね』を合わせ直すのはご法度で、引く線が決まれば端から端まで一度に線を引かなくてはいけません。 つまり、両足の裏で『さしがね』を固定したら、端まで尿道に咥えた鉛筆をもってゆき、反対の端まで腰を動かしながら線を引くわけです。 簡単そうに見えて、足を固定したまま下半身を、しかも板すれすれまで落した姿勢で動かすのは、並大抵じゃ出来ません。 線を引く段階から、ほとんどの生徒は汗だくになっているでしょう。 いえ、股間も濡らしているでしょうから、さしずめ『つゆだく』といったところでしょうか。