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ヒューマン・ロール・プレイ
【調教 官能小説】

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〜 技術その1 〜-1

〜 2番の特訓 ・ 技術その1 ・ 素材 〜



 音楽や美術という教科にたいしては、ある程度『こういうことをするんだろうな』というイメージがあります。 家庭科、書道にしても同様です。 何故って、9年間の幼年学校時代に、それなりに授業形式で取り組んできました。 もっとも『美術』は『図工』であり、『書道』は『書写』だったりしましたが、中身はほとんど同じです。

 一方、『技術』は違います。 『学園』から導入された科目であり、技術教室という専門の部屋があります。 専門部屋でいうと、それぞれの副教科ごとに専門教室があるにはあります。 その中でも技術教室は特別で、廊下から教室を覗いた時、所せましと並んだ工具が独特の雰囲気を醸し出していた様子を覚えています。 

「一から十まで説明は無理です。 担当教官ごとに実習内容も違いますし、ににが覚えてることだけ教えてあげます」

「それだって、予備知識なしよりは随分役に立つさ。 後はアドリブで乗り越えよう、うん」

 【B22番】と【B29番】先輩が前置きしてから、【B22番】先輩がホワイトボードの前にたち、説明をはじめてくれました。

 というわけで、今回の教科は『技術』。
 最初のテーマは『素材』になります。


 ……。


 『技術』といえば、すべてが実習のように思っていました。 実際は『座学:実技=1:1』で、それなりに知識も求められるそうです。 例えば『早材』と『晩材』の違い、丸太を材木化した際の方向による収縮率の違い、柾目材と板目材の用途差、機械加工具の使用法、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の原料その他――枚挙に暇がありません。 週1時間という限られた中で、すべての知識を座学で賄うことは不可能なため、教科書はサラッとながす授業スタイルが主流です。 かといって試験では知識の有無が問われるため、きちんと自分で教科書を読み込むように、とのことでした。

 さて、技術が扱う素材は大きく分けて3つあります。 最初が『木材』、続いて『金属』、最後が『樹脂(プラスチック)』。 私達は、目隠しをした状態でそれぞれの素材を判別できるように、身体の感覚を磨くことになるそうです。

 『木材』の判別から始めましょう。 現代では環境変化により、旧世紀のように太く成長した樹木がほとんどありません。 樹木自体の生育環境は整いましたが、どうしても成長に時間を要するため、間伐材がほとんどです。 ゆえに木材は貴重品であり、材質は厳しく管理され、製品に用いることができる種類は多くありません。 

 比較的入手が容易な木材は、針葉樹材だと『スギ』『ヒノキ』『アガチス』。 広葉樹材では『カツラ』『シラカシ』『セン』。 あとは『ソメイヨシノ』『カエデ』『バルサ』『チーク』もそれなりに流通しています。 これら10種に、担当教官が選んだ2種類を加えた計12種類の木材が判別対象になるそうです。

 それぞれの材木の特徴は、例えば匂いです。 ヒノキ特有の鼻の奥をくすぐる樟匂、いぶすと花のように柔らかく薫るソメイヨシノ、木材化したあとも林の息吹きをともなうカツラ……慣れてくれば香りだけで2択に絞れると聞きました。 味も、スーッとするスギや、甘酸っぱいカエデみたいに、それなりに個性があるそうです。 それから密度。 材木はすべて水より軽いものの、シラカシのように比重が0.90と大きいものや、ヒノキのように丁度0.50なもの、バルサのように0.15しかないものまで様々です。 基本的に比重が小さいものほど弾性に富み、比重が0.2以上違えば、膣で締めつけた感覚から区別できるとのことでした。 あとは、何といっても肌触りだそうです。 まあ、ここでは肌触りというか、襞(ひだ)触りというか……とにかく、表面の木目や柔らかさ、ムラが木材判断の決め手になります。


 



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