受難-2
思いが腕に伝わる。
力を込めて抱きしめた。
腕の中に包んでやると、すがるようにミナもしがみついてきた。
細い腕がまわされ、小さな手のひらが一生懸命にタケルの背中をつかもうとする。
タケルは薄く笑みを浮かべた。
やはりこの子は、何をされてもタケルを嫌いになれない。
どんなに泣かされてもタケルを嫌いになろうとしない。
最後は必ずタケルにすがろうとする。
甘えるような仕草をみせて、許してもらおうとするのだ。
淡い恋心をタケルに抱いているのだった。
わかっていた。
それだけこの妹を可愛がってきた。
頭をなでてやると、ミナは怖さを忘れたいかのように、ぎゅっとタケルしがみついて胸の中に顔を埋めてきた。
涙に濡れた瞳が哀れみを乞うかのようにじっと見上げていた。
唇を震わせていた。
その唇を欲しがって、顔を寄せた。
ミナの顔は逃げなかった。
唇を重ねていくと、自然と顔を上向かせて伸び上がるように背中を反らせた。
舌を入れても嫌がらなかった。
乱暴に絡めていっても短い舌は伸ばされたままだった。
与えられた唇を思いのままに貪った。
「ううっ・・・・。」
ミナの口から漏れる苦しげな吐息が耳に心地よかった。
「ちゃんと、いうことをきくんだぞ・・・。」
鼻と鼻が触れあうほどの距離で見つめた。
ミナは肯かなかった。
肯きはしなかったが、まぶたを閉じると、許しを乞うかのように自分から唇を重ねてきた。