〈写真集・1412〉-10
『いろんなヤツが居るけど、気にしないで頑張ってね』
「アハハ……ありがとうございました」
「ありがとー!」
屈託のない笑顔はキラキラと輝き、そこには媚びも計算も無い少女の純真さが光っていた。
ショートカットで目は切れ長で、鼻筋が通って凛々しい唇をしていれば、確かに少年らしく見えよう。
しかし、愛は紛れもなく美少女である。
睫毛の長さやキメの細やかな肌は少女のものだし、ふくよかな二の腕や微妙な膨らみを見せる胸元は、決して少年ではない。
亜季の可愛らしさは言うまでもなく、低い鼻にクリクリな目、黒髪のツインテールにペッタンコな胸元は、ロリキャラ幼女を実写化したとしか言い表せない。
『ふう〜……』
首謀者の溜め息は深かった。
数時間の間にいろんな事が有りすぎたし、愛と亜季のルックスは、否定など有り得ないくらいに魅力的に過ぎた。
『いや〜、今日は満足満足。大満足だね……』
『二冊別々にサイン貰うなんて、さすがマニアは違うよねえ?』
三人は帰路に着いた。
あの笑顔を首謀者に見せたという事は、やはり危機を察せなかったという証拠である。
少女の瞳は、自分達を地獄に叩き落とさんと企む鬼畜の瞳に宿る、淫虐な欲望を見つけられなかったのだ。
何日か後には、あの姉妹は鬼畜オヤジ達の足元に転がり、死ぬほどの恥辱の海に手足を縛られたまま放られ、泳げぬままに溺れて悶えるのだ。
哀れとも思うし、酷いとも思う。
しかしその感情は、鬼畜の悦びに直結する、必要不可欠な〈スパイス〉なのだ……。