第九章-1
第九章
八月十日、北原泉美の家での宿泊調教の三日目、最終日、朝食後私はリビングに連れて行かれて正座させられた。泉美は例のダンボール箱ではなく裁縫箱を持って来た。
「昨夜は気持ちよかったか?」
「はい、ずっと悶えてました」
「そうか。お前の乳首もピンピンに勃ってるぞ」
「きゃっ!」
私は恥ずかしくてつい両手で左右の乳首を隠した。
「今さら隠すなよ。その手をよけろ。これからお前のその乳首と乳房に待針を刺したいんだけど、やはり両手は後ろ手に縛っておいた方がいいかしら」
「ええっ!」
(何ですって?)
乳房と乳首に針を刺す。もう数学のお勉強にも慣れて、少々のことには驚かないつもりの私だったが、これには思わず驚いて青ざめた。しかし私の驚愕もよそに、泉美はすでに私の両手は後ろに回して縄で縛り上げた。
「あのう、本当に針を刺すんですか?」
「そうだよ」
泉美はこともなげに言うと、右手で裁縫箱から待針を一本取り出し、左手で私の右の乳房を掴んで、針を乳房に近づけて来た。
(いや、いや、いや)
針の先端が乳房に触れた。
「痛い!」
「いちいち悲鳴を上げるな。本当に痛いのはこれからだ」
泉美はその針をゆっくりと乳房の中に刺し込んできた。
(あひーっ! 痛いよー!)
待針が半分ほど入ったところで泉美は手を止めて放した。ほっとひと息。私の顔からは汗がたらたらと流れていた。
しかしこれで終わったわけではない。泉美は二本目の針を、同じ右の乳房の、一本目から二センチほど離れた所に刺し込み始めた。そしてまた半分くらいで止める。さらに三本目、四本目。四本入ったところで泉美が問うた。
「どう、感想は?」
「痛くてたまりません。早く抜いてください」
「おほほ。何をご冗談を。真骨頂はこれからですよ。ほら」
と言うなり、泉美は掌で四本の待針の頭を同時にパーンと強く叩いて、四本とも根元まで私の乳房の中に深く埋め込んだ。
「うぎゃー!」
あまりの痛さに私は背中を大きくのけぞらせ、涙と汗と鼻水とで顔がぐしゃぐしゃになった。
「次は左のおっぱいだ。左にも同じことをする」
そして待針を一本、二本と、半分くらいにまで刺し込んでいく。私はその痛さもさることながら、最後にまた四本いっしょにパーンと叩いて深く埋め込まれるのかと思えば、むしろそちらの想像の方で青ざめぶるぶると震えた。
「これで四本刺し込んだわ。次に何をされるかはわかってるよね」
「はい」
私は震えながら答えた。泉美は予想どおり四本同時に叩いて、私の乳房に待針を根元まで深く埋め込んだ。私はもう死ぬほどの激痛にのた打ち回った。
しかし泉美は平然としたもので、また一本待針を裁縫箱から取り出した。
「次は乳首に刺すのよ。もっと痛いよ」
(ええっ、まだやるの?)
右の乳首のつけ根あたりに、泉美は待針を右から左に水平に刺し込んでいった。これも痛くてたまらなかった。しかし泉美はどんどんと刺し込んでいく。ついに針は乳首を貫通して左側に出て来た。それでもまだ刺し込んで、ちょうど針の真ん中あたりに乳首が来たところで止めた。左の乳首にも同じことをする。
「うう、うう」
私はもうぜえぜえと息をしながら、あまりの激痛に頭が朦朧としてきた。
しかしこれでもまだ拷問は終わらなかった。今度は乳首の先端から奥に向けて待針が刺されたのである。しかもぐりぐりと回しながらゆっくりと刺していく。
「ああ、痛い」
ゆっくりと時間をかけて、両方の乳首の先端に根元まで待針が刺された。これで私は、乳房に左右四本ずつ、合計八本、乳首に左右二本ずつ、合計四本、全部合わせて十二本の針が刺されたわけである。