第八章-2
「お仕置きを受けます」
「それでいいんだ。さあ、こっちへ来い」
泉美は私を部屋の中に入れ、四つ這いにさせると、ダンボール箱から例の乗馬用の太い一本鞭を取り出した。
(ああ、ついに来た)
私はもう怖さでぶるぶる震えた。
「本当は私もこういうものは使いたくなかったんだけどねえ」
などと言いながら、泉美は焦らすようにその鞭をゆっくりとさすった。
(もう、やるなら早くやってよ)
「じゃ、一発目行くよ」
泉美は鞭を大きく振り上げると、四つ這いの私の背中に思い切り振り下ろした。
パシーン!
「うぎゃー!」
皮膚が裂けて血が噴き出したのが自分でもわかった。実際、噴き出した血が脇腹に沿ってぽたぽたと床に落ちていた。
次に二発目。今度は一発目よりもややお尻に近い位置に振り下ろされた。そして私はこの二発目の鞭打ちで、あまりの痛さに気を失って倒れてしまった。
どのくらいの時間が経っただろう。バケツで頭に冷水をかけられて私は気がついた。
「いつまで気絶してるんだ。晩ご飯ができたから、早くこっちへ来て食べな」
ダイニングキッチンには、いつものように床に直接、冷しゃぶと白飯が捨てるように置かれていた。私は背中の鞭の傷がひりひり痛むのに耐えながら、またしても四つ這いのまま口だけで食べさせられた。
「これからは私の命令には絶対服従だぞ」
「はい、心得ております」
夕食後、私はベランダに連れて行かれた。外はもう真っ暗だったが、ベランダは部屋の灯に照らされて明るかった。
「手すりの鉄柵に凭れて、体の左側を下に、部屋の方を向いて、横向きに寝ろ」
「こうですか」
私は言われたとおりにした。すると泉美は私の両手を後ろ手にして手首を鉄柵に縄で括りつけ、また首を可能なかぎり鉄柵にくっつけて首輪の長い鎖で鉄柵に固定した。そして足は、左足はベランダの地面に置いたまま足首を鉄柵の一番下のあたりに括りつけ、右足は高く上に上げて手すりの最上部に足首を縄で固定した。つまり私は体を地面に横たえ、足を大きく開いた状態で横向きに磔にされたのである。
「今夜はこの格好で明日の朝まで過ごしてもらうわ」
「はい、わかりました」
(つらくて恥ずかしい格好だけど、昨夜のごみ集積場での放置よりは楽そうだなあ)
と考えた私が甘かった。
「ただしマンコと肛門の二つの穴にバイブを挿入する。お前は前と後ろから一晩中バイブ責めにされ、朝まで悶え続けるのだ」
「ひっ!」
またしても私は顔が引きつった。バイブなど一分でも突っ込まれればもう耐えられない。まして肛門は今日開発拡張されたばかりだ。
しかし泉美は容赦なく私の下半身の二つの穴にバイブを挿入した。
「あん、あはん、いやん、だめ、感じる、うう、だめ、あはん」
私は激しく悶えた。すると泉美は、
「そんな大声で一晩中よがり声を出されちゃ、隣近所に気づかれちゃうよ」
と言って、私の口を昨夜と同じくガムテープで封じた。
「もぐもぐ」
声には出せなくなったが私は悶え続けた。
「昨夜と同じで、明朝私が縄を解きに来るまでは、おしっこはいつでも自由にしていい。眠たくなったら寝ていてもいい」
私は泉美の言葉などもう上の空、バイブに両穴を犯されて悶えるばかりだった。
「じゃ、おやすみ」
泉美は部屋に戻ると、ベランダへのドアを兼ねた大きな窓を閉め、カーテンも閉めた。それからしばらくして部屋の灯も消された。
(ああん、いやん、もうだめ)
一晩中悶えに悶え、私はこのまま悶え死ぬのではないかとさえ思えた。
やがて夜が明けた。私は前夜が徹夜で、昼間はハードな数学のお勉強で疲れきっていたにもかかわらず、この夜もついに一睡もできなかった。そして朝も遅くになって、泉美がようやくベランダに出て来てくれた。