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MOTHER 『僕』
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MOTHER 『私』-1

死刑宣告をされたと思った。
目の前の老人が口をぱくつかせている。
…耳が聞こえない。
瞼が閉まらない。
16歳の私の脳みそは現状を理解することに精一杯で あたしの細胞まで動かしてはくれないようだ。

あの日 私は一夜だけだと約束し 愛する彼と愛し合った。
彼には妻子がいたけれどどうでもよかった。
ただただ 彼だけを愛していたから。
もちろん彼以外とは何もない。
そう だから死刑宣告なのだ。

誰にも言えずに日々育ちゆく二人の愛のカタチ。
『私は産みたい。』
大きく腹の中で鼓動が聞こえた。
『おまえも産まれたいんだね』
優しく大きく腹を撫で 愛しい彼を思い出す。
何かの拒絶反応かの如く 急激な吐き気に負け吐いてしまうと 気付かれたくなかった周りの人間が私を囲むようになった。

『おまえはなんて淫乱なんだ!』
『まだ16歳なのよ!』
『相手は誰だ!』
『このことは知ってるの?』
『どーするつもりなんだ?!』

聞きたくない聞きたくないイヤダイヤダイヤダイヤダ
耳を塞いで目を瞑っても 聞きたくない言葉は突き破ってくる。

『オロシナサイ!!』
『オロセ!!』


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