忘却の目覚-2
「だいぶ前から、良くなってきてるんだろ?」
双臀をしっかり掴み、千章は低い声で問い質す。
「いやぁっ、違ぁ、あああぁぁぁ… 」
恵利子は否定と共に、肯定と取れる嗚咽を漏らす。
《嫌なら、どうして逃げないの? この体位なら簡単でしょ? 》
内なる恵利子が嘲る様に嘯いてくる。
「あっ あっ あっ あっ あああぁぁぁ」
羞恥と蝕む悦びから、身体を支える両腕が震えだす。
「良いんだろ? もう、憶えたんだろ? だから、逃げ出せない」
千章の言葉に、恵利子はまったく反論出来なかった。
抗っても抗え切れぬ程に、身体が蝕まれ、欲するようになっていた。
「さあ、恵利子、対面座位(うえ)になってごらん」
堪え切れぬ程淫猥な命令に関わらず、その言葉は何故か恵利子の中で優しい囁きに聞こえる。
震える両脚で何とか立ち上がると、視界が脱ぎ捨てられた下着を捉える。
対照的に脱がされた制服は、皺が寄らぬように掛けられていた。
背徳的な感覚に、恵利子はまるで制服に見咎められている錯覚に陥る。
「おいで、恵利子」
千章は恵利子の手を引き、ベットの上へ向かい入れる。
「そんなかっこう(体位)、恥ずかしいです。 せめて…… 灯りは、消して下さい。お願いします」
(可愛いよ、恵利子。ここ数週で艶めいてきた。さあ、自分で腰を振って、悦びの声をあげるんだ)
千章は赤らむ恵利子の顔を見上げ、喜びと驚きを感じていた。
まだ十五歳、楚々とした顔立ちでありながら、その表情はたった数ヶ月前の少女とは別人に思えたからだ。
長いまつ毛に、大きな瞳、その瞳は潤み、まるで何かを訴えかけてくるようである。
胸元の膨らみは増し、腰から双臀にかけてのくびれは艶かしい。
サイズそのものに極端な変化がある訳ではないが、一気に大人びて入学直後の恵利子とは明らかに違う。
「だめぇ です」
引き寄せた手は離さずに、形ばかりの抵抗で濡れ羽色の髪を左右に揺らす。
「ダメだ! さあ、来るんだ」
腕を掴み引き寄せ、強引に跨らせる。
「苛めないで…… お願い」
ぬるりっと、大きく鰓を張った陰茎先端が呑み込まれると、千章の表情が恍惚に歪む。
痺れるような震えが、背筋を走り抜けて行く。
甘えるような声、困惑の表情を浮かべる少女が、自らの陰茎に腰を落としていくのである。
「はあぅっ」
対面座位、根元まで咥え込んだ恵利子は上体を預けながら、切なげな声を漏らす。
小さな顎を上げ視線を合わせて来る。
もう、逃れる素振りは見せない。
「自分で動かすんだ」
「そんなエッチなこと、できません」
「こんな大人しそうな顔をして、もう、“おとこ”(陰茎)を覚えてしまったんだね。この二週間、待ち遠しかったかい?」
「ぅぅぅ…… お願いだから、お願いだからぁっ」
乱れた呼吸と共に、揺れる髪からシャンプーの甘い香りが漂う。
「欲しかったんだろ、恵利子。……セックス、したかったんだろ」
くびれたウエストに腕をまわし、千章は決して自ら動こうとはしない。
堪らず恵利子は、おずおずと腰を蠢かす。
「恥ずかしい、恥ずかしいようっ、こんなのっ 酷い」
「陰茎を軸にして、もっと大きく腰を揺り動かすんだ」
「はっ はぁっ はっ はっぁぁ」
言葉とは裏腹に恵利子は、命じられるまま腰の揺れを大きく速めはじめる。
腰を深く沈め、上半身を預け、胸の膨らみを押し付けてくる。