ざくろの昼下がり-2
「ザクロって、エロチックだよな・・・」
四つにパックリと割れた柘榴の包皮からは赤黒い実が覗いていた。
なおかつ艶やかにひしめくその粒を眺めて和孝はそうつぶやく。
ワクワクは子供の頃にのみ見える山の妖怪みたいなもので僕らはだんだんとその力を失っていく。
手を付けずにしっかりと持った柘榴の実を眺めて、僕はそう思った。
もしかすると、僕はそのワクワクを求めてここに戻ってきたのかも知れない・・・
柘榴の実をすり潰して、タマネギの茎から搾り取った汁を少し加える。
白濁した液体は柘榴の果汁に落ち込んで容易に溶け込もうとはしない。
子宮の中に放った精液はきっとこんな風に女性の中の抗体を掻い潜って受精しようとするのだろうか・・・
そこにハチミツと黒コショウ。それとチョコレートをほんの一かけ練り込んであとは粘りが出るまで煮詰める。
チョコレートは僕のオリジナルだけど、これでとりあえず媚薬が完成した。
そう、僕のワクワクは裏山で遊ぶ事ではなく、柘榴を採る事にあったのだった。
創作といえば全部が適当でほとんど創作に近い。
柘榴の果汁とタマネギの茎から搾った汁。
古い本で読んだ媚薬の材料とされるものだった。
それすら誰かの世界紀行みたいなのから引用したものだけど、いつか作ってみたかったのだった。
チョコレートは大昔にもともと媚薬だったと聞いたから加えたのだけど、本当はタマネギとコショウの混ざった匂いが強烈だった事もある。
こいつを女子のアソコに擦り込むと立ちどころに誰かれ構わずにしたくなる・・・ハズだ。
それはいいのだが「あら、そうなの。」と塗らせてくれる女子などいれば、そもそもこんなの必要ないのだ。
僕はよっぽど迷ったのだが、この事を和孝に相談した。彼は先日、裏山にわざわざ柘榴を採りに行った事を今も不審に思っていた。
「お前、本当かよ！？」
和孝はたいそう驚き、僕が適当に作ったそれを本気で信じ込んでる様子に僕も驚く。
こいつに相談して、なんとかなるものだったら・・・また、そもそもこんなの必要ないのだ。
「中西・・・中西雅美に試してみようぜ！！」
「中西って・・・どうすんだ？」
中西雅美は水泳部だった。
紺のスクール水着からおっぱいもお尻もはちきれていて、彼女がプールサイドに現れるとそういう意味で男子生徒の目を釘付けにする。
なるほど、和孝が彼女を選んだのはそういう理由に過ぎないだろうし、水泳部は夏休みも活動している。
なおかつ、他にも部活の生徒や補習組なども普通に登校しているから、僕たちが学校内をうろうろしていても不審はない。
問題はどうやって中西雅美のオマンコに媚薬を擦り込むのか？ってところだろう。
こりゃ犯罪にもなりかねないと僕は怪訝な顔になる。
和孝の計画はこうだった。
水泳部の部活が始まって綿密に４０分経った頃・・・
それ以前だったら遅れて来た部員と鉢合わせになる可能性が高く、それを過ぎたら一旦休憩に入ったりするかも知れない。
水泳部の部室は男女別のプレハブに分けられているので女子は部室で着替えるはずだろう。
これは体育館の更衣室を使うと、そこを利用する女子バレー部や体操部で混み合うからだ。
そこに忍び込んで中西雅美のパンティを探し出し、それに塗りつける。
そう、下着まで脱いでもらう必要があるから水泳部なのだ。
なるほど周到な計画だけど、よしんば成功して中西にその効果が表れるかどうか・・・
どうやって確認するというのだろう。