思わぬ事故-1
「おじさん、あたしのパンツまた持ってった?」
隣の部屋にいる伯父に、風呂上がりのアリサはドア越しからさり気なく聞いてみた。
「え? あ、ごめん。ちゃんと返すから。」
ドアの向こうでティッシュペーパーの音が聞こえる。アリサは溜め息をついたが、勢いよくドアを開けて中に入った。
「うわっ!」
伯父は驚きの声を上げた。
「いや、もう!」
ドアに向かってあぐらをかいた伯父は、何も穿いていず、上を向いた男の部分を右手で擦っていた。アリサが入ったとたん、そこから白い液体が小分けして飛び出し、アリサの足にかかった。
男の、恐らく一番の秘密を見てしまったアリサは、心で咄嗟に反省した。足をどかすのも悪いと思ったので、濡れていく足を寧ろ差し出した程だったが、自分のパンツが裏返しに敷かれ、そこを目掛けて出すために広げてあったのを見ると、やはり腹が治まらなくて
「いい加減にして!」
と、手で取り去ろうとした。これで何枚目になるか、思い出せない位の数を汚されていたのだった。
思わず伯父が少し仰け反った拍子に、濡れたアリサの片足が滑った。アリサは転ばぬよう、伯父の肩に手を掛けたが、下ろしたもう片方の足は、まだ硬い伯父のそこを上から勢いよく踏みつける形になった。その時、アリサの体の重みが、ほとんど伯父のその上にのしかかった。
足の裏で、ぽきんという乾いた音がした。それから、柔らかく丸いものが二つひしゃげてぬるりと動くのをアリサは感じた。伯父は声も出さずに倒れて丸くなった。