進化的家族間スワッピング-2
「何がサプライズよ!あたしの気持ちを考えもしないで、こんなの酷いよ」
春奈は慌てて手で股間を隠すと、みんなの視線から下半身そのものを隠すように女体を横に向けた。
「春奈…」
喜ぶと思った春奈の拒絶に響子は驚いた。得てして子供の行動は親が思うようにはいかないものだ。春奈が夫婦のセックスに参加してからは、母娘間のわだかまりも無くなり、実生活でも家の手伝いもよくするようになっていた。
普段の聞きわけの良さ故に、まだまだ響子の庇護の中の子供のままだと勘違いをしていて、春奈の成長を見誤っていたのだ。それを突き付けられた響子は力なくつぶやいた。
「じゃあ、どうしたらいいの…」
「知らない!」
春奈はプイッと横を向いた。
「そんな…春奈に喜んでもらおうと頑張ったのに…」
家族間スワッピング。ここまでこぎつけるのに、どれほどの労力がいったことだろうか。響子の脳裏に、勃起力の衰えた拓哉の肉棒が過った。そして拓哉の肉棒使用の頻度を解消すべく、喫茶店で行った弘美との際どい駆け引き、拓哉との緊張感溢れる交渉、そして決別した過去の男(兄)との性交渉を再開することへの自身の折り合い。それらは全て春奈のことを思ってのことだった。そんな苦労に対しての春奈の対応に響子の顔は曇った。
しかし、実際は成り行き任せのトントン拍子だったのだが、昔から【都合のいい女】の響子の心理は、自身も都合よく【春奈のために苦労した】とすり替えられる思考を持ち合わせていたのだ。
「喜ばないわよ!」
「そんな…」
取りつく島のない春奈の言い方に、響子はガックリと肩を落とした。その場その場での喜怒哀楽が激しい響子なので(激しい分、直ぐにケロッと切り替えも早い)、その姿を傍から見ればかなり落ち込んでいるように見えた。
家族間で乱交を始めてから、明るい響子しか見せていなかったため、久しぶりに見る母親のそんな姿に春奈の心はざわついた。
「そ、そんなにガッカリしてもダメだからね…」
「ううっ…」
さらなる娘の冷たい言葉に、響子は顔を被った。
「大丈夫か、響子…」
「ううっ、拓哉くん…」
俯いて顔を被う響子の肩に心配顔の拓哉が手を置くと、響子は拓哉の胸に顔を埋めた。響子の背中を撫でる拓哉は、春奈に目を合わそうとせずに俯き加減だ。
普段見せない両親のそんな姿に戸惑った春奈の目が泳ぎ、その視線が周囲を漂った。春奈の視界に、気まずそうにそっぽを向いた勇気、ヤレヤレと首を振っている徹、そして今にも涙が溢れそうにウルウルきている弘美が入ってきた。叔母の涙にも弱い。春奈の心はさらにざわついた。
この半年の間、幾ら性的に経験を積んだといってもまだまだ小学生、庇護を受けている両親の悲しむ姿を見るのは嫌だった。
ましてやこの場の空気を作っているのは、不本意ながらも自分という事実。精神的に未熟な春奈にはこれは耐えがたかった。
しかし、春奈の心のざわつきを他所に、拓哉の胸に顔を埋めていた響子は、拓哉の勃起した肉棒をしっかりと握り、拓哉は拓哉で響子の背中を撫でる一方で、別の手が響子のノーパンの股間をクチュクチュと弄っていた。
「ううっ…(気持ちいい…)」
身悶えの呻きを、泣き声と勘違いした春奈の心は責め立てられた。
「お母さん…」
春奈がこの空気から逃れることは一つしかなかった。
「わ、わかったわよ…」
「えっ?」
春奈のその小さなつぶやきに、響子は振り向き、その潤んだ目を妖しく輝かせた。
「わかったってば」
この時の春奈の心理は、去年初めて両親の性行為を目の当たりにしたときと同じだった。両親のセックスを見るのは嫌だったが、結局逃げ出さずにその場に留まってオナニーをした。
今も逃げだせば済むはずだったが、春奈の中の親を思う気持ちと、響子譲りの淫乱な本性が上手く混ざり、その場を離れさせなくしていた。