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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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俺だけをみて!-6

「それからかなぁー、気が付いたら一緒になっていて、僕が弁当を忘れた時もそっと弁当を分けてくれたり、僕が給食費盗んだってクラスの子に疑われた時もさりげなく僕を信じてくれて…。」
「……。」

先ほどまでおちゃれけてた彼がまともな口調で遠くでも見るように穏やかな顔で向こうに
視線を置き。

「だから、アイツはとっても良い奴…何だよ。」
「一条、君。」

私、そんな心優しい素敵な人に好かれたんだ。

「柊さんは、さ。」
「はい?」
「彼の家庭環境を、知ってるよね?」
「は、はい。」

母親を早くに亡くし、お兄さんも海外で遠くに居て、頼みの父親も毎日お酒ばかりで彼に
苦労ばかりかけて親らしい事は何一つせず。

「だからさ、彼をよく僕の家に招き入れているんだ、親も弟も家族同然に彼を受け入れて
くれて、一緒にお風呂に入ったり一緒に寝る事もしょっちゅうさ。」
「あら、そんな事彼は一度も…。」
「まぁ彼だからね、それに最近はうちには来ないんだ、甘えてばっかじゃいけないって
何か遠慮しているみたいでね。」
「あぁー。」
「ある日、彼の誕生日に家族全員で祝ってあげたんだ、それも盛大に…、そしたら彼が
後々廊下で泣いてたんだ…。」
「……。」
「それを偶然見た僕は決意したんだ、「彼を護ってあげたい」「彼を人並いやそれ以上に
幸せになって欲しい」って。」
「一条君。」
「だから、さ…本当の事言えば彼が刺されて死にそうになった時、心底絶望したよ、目の前が真っ暗になって、悪い夢を見てるんだ、覚めろ覚めろって。」
「………。」
「こんな所で死んじゃ嫌だよーって、これから幸せな人生が待ってるのに…って。」

胸が、締め付けられる。

「君には悪いけど、僕は人生で初めて自分でも信じられないくらいに怒りがこみ上げて
きて。」
「……。」
「あたるはあたるなりに思ったんだろうね、君を助けたい護りたい救いたいって…。」
「そんな、私は。」
「アイツはそういう奴さ、温泉に浸かってた時も謝ってきたよ。心配かけたねってさ。」
「佐伯…君。」
「そんな彼を苦しめてそのまま死んだら、僕は僕は君や巴が全力で制止に入ったって今すぐナイフでも何でも握ってあの人を。」
「御免なさいっ!」
「!!」
「全部、全部私のせい。」
「違うよー!悪いのはぜーんぶあの人だって。」
「…やっぱり今からでも遅くない、彼を風馬君を警察に突き出そう、そこまで皆彼のせいで苦しんでるんだったら、私の下らない同情何て。」
「やめてよっ!そういうの!」
「えっ!?」
「謝って彼が喜ぶと思うのっ?僕らに気使ってそんな事して彼が満足すると思うの?」
「それは…。」

今、私…彼に怒られてる?まるで巴ちゃんが私の為に彼を叱ってるように。

「彼は君を選んだんだ、どこぞのいい加減な女子何かよりも、君を本気で好きになったんだから、君となら幸せになれるって、そう想って。」
「佐伯…君が。」
「それに言ってたよ、「アイツとの騒動はもう終わったのに」って。」
「…それって。」
「俺だけをみて欲しい、そんな奴にいつまでも依存している君に苛立っているみたい。」
「私…。」
「でも、君は見ててもとっても優しくて純粋でアイツの彼女だなんて勿体ないっていつも
思ってるよ。」
「一条…君。」
「だからさ、心から感謝してるよ…有難うね、彼に幸せを与えてくれて。」
「……、私の方、こそ。」

一遍おちゃれけてそうで根はしっかりと考えてるんだ…。

「う、うーーーんっ!さぁーてとぉー、ゲームセンターにでも行こうかしらぁーん。」



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