投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

恋のMEMORYの最初へ 恋のMEMORY 127 恋のMEMORY 129 恋のMEMORYの最後へ

俺だけをみて!-5

「いやぁー、食った食ったぁ♪バイキング最高だねぇー!」
「はい!好きな物を食べ放題…、こんな、こんな夢のような制度があるなんて…。」
「制度ないし、そんな泣くなよー、普段の食事が貧相みたいでしょ。」
「そんな事ないです!お爺ちゃんの野菜は日本一です。」
「あら、そういやお爺様は?」
「それが、スキーで無茶しすぎてぎっくり腰起こして部屋で休んでます。」
「そうなのー、面白い人だねぇー。」

料理は未だ空になる事はなくどんどんシェフが追加していき、浴衣をまとった特に家族連れがお皿を持って食事を楽しんでいる。

「佐伯君、美味しい?」
「えっ?あ、あぁー最高だな、これなら毎日あって欲しいくらいだ。」
「アホッ、それじゃー腹も心もたるむでしょうが、たまにやるか良いんでしょ!ほんと
学習能力ないんだから。」
「バーカ分かってるよ!冗談で言ったんだよ、ったく気分悪いわ。」
「…ねぇ若葉エステ行きましょう!二人でもぉーと美人になりましょ!」
「あっ、私はもうちょっとここで休んでます。」
「俺、食後の運動にトレーニングでもしようかな。」
「僕は食後のティータイムとするよ。」
「なーんだつまんないの!んじゃー一人で行ってくるわ。」

こうしてポツンとゆっくりする私。

「ふんふんふーん♪自分で入れるコーヒーはまた別格だねぇー。」
「一条君ってコーヒー派何ですか?てっきりお茶派かと。」
「うーんまぁコーヒー派だねぇー、お茶派でもあるけど。」
「は、はぁ…。」

佐伯君曰く確かに少しズレてる…というか。

「君もどうだい?」
「えぇ、ちょっと紅茶でも。」
「じゃじゃーんっ!」

と、声を上げそう言うのを想定していたかのように私の前に紅茶を差し出す。

「す、すごーい!どうして分かったの!?」
「超能力。」
「へ、へぇー。」

確かこの人、巴ちゃんの恋人…だよね。

何はともあれ二人でティータイムをたしなむ。

「……。」
「熱っ、でもこれが良い。」
「……め、珍しいですよね、こういう組み合わせ。」
「んー?あっそうだねーこうして話すのって初めてかもー。」

普段は巴ちゃんと一緒で、登下校や休日は佐伯君と共に過ごしていて。

「あっあの!」
「なぁーんでぇーすかぁー?」
「いつも巴ちゃんと佐伯君がお世話になっております!」

彼は私からしたら恋人の親友、親友の恋人。

「いえいえーこちらこそー、あの二人と上手く付き合ってくれてぇー。」
「上手くって、まるで取り扱い注意みたいな。」
「そうそう!まさにそれ!やるねぇー♪」
「あはは…。」

こんな機会滅多にないので、今まで気になった質問をぶつけて見た。

「お二人は親友なんですよね、小学校からの。」
「今日は質問が多いなぁー。」
「えっ?あぁー御免なさい。」
「良いさぁー、嫌いじゃないしー。」
「……。」
「コーヒーお代わりしてくる、今度はアメリカーン♪で、君は?」
「私は、じゃー紅茶を。」
「オッケー♪」

と、私のカップも持って向こうへ行く彼。その時も陽気に鼻歌を歌う。

「おっ待たせぇーっ!」
「有難う御座います。」
「紅茶って女の子良く好むよね。」
「コーヒーだって。」

佐伯君はトレーニング、巴ちゃんはエステ。

それからお互いカップに唇を触れ、静かに液体を流し込み、彼がゆっくりとソーサーに
カップを置いた所で、口を開く。

「そうだよー、小学…4年生くらいかな、出会ったのは。」
「まぁ。」
「最初は何てぶっきらぼうな人だなぁーって思ってたけど。」
「それは今も健在ですね。」
「そう!最初は何このゴミくずって避難してたけど、ある日ね、ちょっとした事件が発生したのだよ。」
「はぁ、事件…。」
「僕とあたる、近所の子達でサッカーをしていたんだ、けどその時僕が勢い余って飛ばし
すぎちゃってお隣の家の窓ガラスを割ってしまって。」
「まぁ、それは…。」
「謝って取りに行こうと思ったけどそこの住人さん近所でも評判の雷オジサンとして恐れられて、大泣きして彼の家を後にする子、態々遠回りしてこの家を通り過ぎるのを避ける
子とかいたらしくて。」
「男の子も色々と大変なんですね。」
「それを急に思い返して、子供ながら血の気がスーって引くのを今でも鮮明に覚えていてさぁー。」
「お可哀想に。」
「うん、自分が今まさにそんな処刑場へ向かうかと思うと足がガクガクに震えて、嫌だと
思い、振り向くと近所の子達は「早く行ってこいよー」「お前のせいだろ」とでも言わんような顔で睨んできて…。」
「……。」
「それでも行くしかないから覚悟を決めようとしたその時だった、一人の子が堂々とその
処刑場へ向かったんだ、誰だか分かる?」
「もしかして…。」
「そう、その子はボールを取りに行き、雷JJI(ジジィ)に見つかって「くぅぅおぉぉぉ
らぁぁぁぁっ!!こん糞餓鬼ゃっ!」と案の定噂通りの雷を放ち「おめぇが割ったんかっ
おめぇの仕業かぁぁっ!?」って、問いただしてきて。」
「そのおじさん、少々頭おかしいんじゃないでしょうか。」
「僕は慌てて、僕がやりましたって名乗り出ようとしたんだ、そしたらその子は身を引く
素振り一つ見せずあっさりと「うん、俺が勢い出しすぎて、御免なさい。」って。」
「佐伯…君。」
「あまりに堂々としてるもんだからJJIもそれ以上どうこう言うでもなく「今後気をつけなさい」で終わって。」
「……。」
「それからその子に慌てて謝るも「何が?…だって皆の責任ジャン」ってカッコつけるような感じも恩がましい感じも何一つ見せず。他の子は自分の事しか考えないで責任を押し付けあってるってのに…。」
「そんな、事が。」


恋のMEMORYの最初へ 恋のMEMORY 127 恋のMEMORY 129 恋のMEMORYの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前