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やっぱりそこにある愛
【コメディ 恋愛小説】

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カピバラの彼氏-8

「やめろ! 元気!!」


突如、俺の脇から手が生えてきたかと思うと、それはガッチリ俺の身体をホールドして、和史くんから引き離す。


でも、もう完全に頭に血が上ってしまった俺は、このクズをボコボコにしてやらないと気が済まなくて、羽交い締めにされた身体を振りほどこうと躍起になった。


「離せ、鈴木! こいつ、茜のことセフレって……!!」


奴を睨みつけながらそう叫ぶと、左頬を押さえていた和史くんはサッと顔色を変えた。


一方、鈴木もまた俺の言葉に驚いたのか、耳元で「えっ」と小さな声を上げる。


「お、おい……、こいつらが話してたセフレって……」


心なしか声が震えている鈴木に対して、俺は店内に響き渡るほどのでかい声で答えてやった。


「そうだよ、このクズがセフレ扱いした女は、俺の大事な幼馴染なんだ!!」


俺が茜の関係者であると知った和史くんの顔は、みるみるうちに顔が青くなっていき、唇が小さく震えだした。


バレた時の覚悟なんてまるでない、そんな奴の軟弱な態度。


こっちは羽交い締めにされながらも、さっきからずっと睨みつけているってのに、一向にこちらを見ようともしないで、ただ恐怖に瞳を揺らしている。


そんな奴の態度にますます苛立った俺は、かろうじて動く足で、思いっきり和史くんのスネを蹴り上げた。
 
                   
小さくうめき声を上げる奴に、俺は怒鳴り散らすように大声を張り上げる。


「なあ、テメェ茜と付き合ってるんじゃなかったのかよ?」


「…………」


「何とか言えよ、コラ」


「す、すみません……でした」


「答えになってねえじゃねえか、殺すぞ!?」


「う、うわあああ、ごめんなさい、ごめんなさい!!」


ドスのきいた声でそう叫ぶと、頭を抱えるようにして、身を縮こませる。


コイツじゃ埒があかないと、一緒にいたカーディガン男の方を向くと、彼もまた青ざめた顔を小刻みに横に振りながら、


「おれ、関係ないっす……」


と、こちらから目を背けるのだった。





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