ハッピーイルミネーション-1
鼠色に染まる夜の大通公園。そこにポツポツと何色も小さく光るイルミネーション。それはまるで夜空に浮かぶ星座のように見えるのは私だけ?
「ほーら!走ったら転ぶよ!」
「ねぇねぇっ!これめっちゃキレー♪」
「アンベビリーバボー!ワンダホゥー♪」
転倒の恐れを持ったく考えず無邪気に走り回る子供、次々とイルミネーション作品に黄色い歓声を上げる女子大生達、海外の芸術に感動する外国の方達。そんな彼らのお陰でこの
フィスティバルに一層盛り上がりが添えられる。
「おーいっ!」
「あっ!」
人ごみの中、私の元へ駆け寄っていく私の大好きな人の姿。
「はぁ、はぁ…、待った?」
「ううん、イルミネーションを楽しんでたから大丈夫。」
「それ…待たせたって事じゃ。」
「そうかもー。」
分かってないな、こうして待つ時間も楽しいのさ。
それから彼は私に当然のように手を差し伸べ、私も自身の手の平を彼のを重ね。彼の大きく暖かい手が触れた途端、包み込むように私の小さな手を握り、早速前へ一歩歩みよる。
「寒くない?」
「全然!…だって佐伯君の手、暖かいんだもん。」
「君の手は逆に冷たいね。」
「あっ、御免なさい、えっと冷たかったよね?はぁー。」
さほど寒くはないだろうと二人して油断して手袋も帽子も履かなかった私たち。必死に
冷たい自身の手を吐息で暖める私…。そんな私を見た彼は。
「ぷっ、くはははははぁ!」
「えっ?」
「君って本当におもろいなぁ。」
「おもろい?なんで?」
絶えず噴き出す彼、どういう事?
「別に悪い意味で言ってないよ。」
「でも…。」
全てを悟ったような穏やか口調で申し、それから再び私の手を握り。
「手の冷たい人って、優しいんだって。」
「えっ、そうなの!?」
「あぁ!小さい頃、母さんが…、ん。」
母親を口にした途端言葉を失い表情が暗くなる。
「ご、ごめん。」
「だからー、別に君は悪くないってーの。」
「……。」
と思ったら急にクルッと一回転するようにパァと明るいスマイルを浮かべる彼。
「じゃ、撮るよーんっ♪」
「オッケー!」
女子大生達がイルミネーションをバックに写真に写る。
「俺たちもやろうぜっ!」
「あ……。」
手を繋いだままその場所へ勢い良く向かう。
「すいませーん!写真良いですかぁ!?」
「ん?あぁー良いですよー。」
「アラ、イケメン♪」
先ほどの女子大生達にケータイを持って駆け込む。
「はい、じゃー撮りますよー。」
「!!」
私の肩に彼の手の平が添えられる。
彼と私の思い出が一枚の写真に収められた。
あぁ、幸せってこういう事を言うのかな……。
アクアカラーがダンスをするように色んな位置に点滅する。