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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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ハッピーイルミネーション-2

「わぁー、キレイー!撮りがいありますねー。」
「おーい、走ったら転ぶぞっ、うへあっ!」

背後からガサッと滑り転ぶ音を耳にする。

「大丈夫!?」
「ん、あぁーっ!痛たっ。」

注意した本人が滑る…何て。思った以上に痛がる彼、そんなに激しく転んだか…、いや
良く見たら手でさすってるのはお尻ではなく背中…、それって。

「大丈夫なの?怪我…。」
「だから平気だってー、転ぶ何て冬あるあるジャン。」
「そっちじゃなくて、背中の怪我。」
「!!」

言葉の意味を理解し、ハッとする彼。

今から2週間前、私と彼と巴ちゃんとで風馬君の家へ向かい、彼の悪巧みで暴き、逆上
した彼が、手にした包丁で佐伯君を刺し。

一瞬何が起こったのか理解出来ず、後で我に返った巴ちゃんが救急車を呼び。それに引き換え私は血を流し地面に身をくっつけビクともしない彼に寄り添いただただメソメソして
何も出来ず。

それから手術は成功し、少しばかり入院し、それから退院して今から三日目に教室に顔を
出して。

「はぁー…。」
「柊…さん。」

思い出しただけでも胸が締め付けられる。手術中の約5時間ただひたすら頭が真っ白で、
巴ちゃんがずっと片時も離れる事なく傍についていてくれて、後で一条君も駆けつけて
くれてどうにか耐えれたけれど…。

「…本当に良いのか?あの野郎突き出さなくて。」
「それは…。」

犯行時、風馬君は自身がした事に驚いた感じで、その場で彼を刺した包丁を力なく地面に
落とし、ストンと糸の切れたマリオネットのようにその場で魂が抜けたように腰を落とし

幸いあの場に人気は少なく、駆け付けた救急隊員も患者が倒れた原因を目の当たりにした
かも知れないが、彼らは命を救うのが使命であって悪を裁く訳ではない。

故に佐伯君曰く被害者である私達が風馬君の親や先生、それに警察に話して彼を殺人未遂
で被害届けを出す事は可能だろう。巴ちゃんも一条君も彼と同意見で…。

「もうあんな奴、ムショにぶち込んでやろうっ!これじゃ安心して生活出来ない。」
「話はあたるから聞いたけど、酷い人だね、僕の恋人苦しめて僕の親友にあんな…。」

私をずっと悩ませ苦しめそして悲しめた彼を絶対許せない巴ちゃん、合宿中に巴ちゃんを
惑わせ、大事な親友をあんなめに遭わせた彼を許したくない一条君。

皆の気持ちは良く分かる、でも私は…。

「はぁー!?アンタ何言ってるのよっ!」
「そうだよっ!彼が何をしたのか分かってるよね?…それなのに突き出しもせずおとがめ
なし…何て。」
「ごめん、二人共…。」

「全く、お人よしにも程があるだろうに。」
「そうだね。」

巴ちゃんも一条君も呆れていたけど、最終的に私の考えを受け入れてくれて、それ以上
どうこう言うでもなく、例の事件を私達以外に口外もせず、風馬君を勝手に突き出すような真似はしなかった。

「でも、やっぱりアイツは…、あっいや別に俺個人が憎くて言ってる訳じゃなくて、このままだと危ないだろ?良くニュースでやってるだろ、フラれた腹いせに殺害って。」
「うん。でも彼はそんなんじゃない。」
「柊…さん。」
「もし本当にそうなら私だって皆と同じ事する。でも、違う。」
「どう違うって。」
「だってもしそんなに危険だったら、その夜にでもナイフでも持って私の家に行けばいいだけなのに、それもせず今は学校にも行かず、部屋に引き籠って。」
「……。」
「あの時だって、本気で君に死んで欲しいって思ってたら背中の端っこじゃなくて急所を
狙ってた筈。」
「まぁ、お陰で早くに退院出来たけど…。」
「佐伯君もあの二人も彼の事憎くて許せないのならそれで良い、でもっ…あ。」

スイッチをオフにでもするかのようにポンと私の頭に手の平を乗せ、私を制止する。

「分かったよ、悪いようにはしない、俺たちからしたら悪人でも君からしたら大事な
幼馴染だもんな。」
「ありがとう。」

その瞳はとても暖かい。それからタイミング良く彼のお腹が鳴りだし。

「…なーんか腹減ってきたな!何か食うか!」
「うん!向こうでお店が一杯並んでるみたいよ。」

そして彼は再び私の腕を引っ張り、その賑やかな会場へ溶け込む。



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