普通の人 3-1
ちづるはソファーに座ってるタクミに言う。
「これ、かけよう?」
「 うん、ありがとー。」
2人は横になり、テレビの方を向いている。
ちづるの背中にいるタクミは、手で頭を支えながら、ぼんやりテレビを見ていた。
片方の手で、ちづるのお腹を自然と撫でている。
ちづるは布団をおでこの方までかけていて寝てるか起きてるか分からない。
15分ほど、そのままだった。
寝ちゃった、かな、 、 ?
タクミはそう思い、あくびをした。
「、、、タクミ くん、、」
「 あ、 起きてたの?」
「、、、私、、
普通じゃない かな 、?」
「、え?、」
「、、、女の人は、普通、、、
エッチ、、出来ない人がオナニー
するんだよね ?」
「、、、、うん。」
「、、そう だよね、、、」
ちづるの呼吸が少しだけ大きくなる。
お腹を撫でているタクミに、それがよく伝わる。
ちづるは不安感に襲われていた。
周りの意見をよく聞いて、生きてきた。
結婚も、周りの意見を尊重して決めた。
普通じゃない、という言葉は、ちづるにとって漠然とした恐怖になっていた。
「ちづちゃん、。こっち、むいて、?」
「、ん、?、、」
モソモソと、タクミの方を向く。
タクミは、優しい目をしてた。
「、 、呼んで、いいからね?」
「、え? 」
「性欲だけで俺を呼ぶ事、悪いと思った事、あるでしょ?
、、、呼んでいいよ?
夜中とかでも、隣に居るし。」
「、 、 、 。」
「我慢 出来なくなっちゃうんしょ?
エッチな事ー、考えちゃうのが、止まらない、、みたいな?」
ちづるの目が泳ぐ。
「、大丈夫だよ、。
さっきも言ったけど、
俺、ちづちゃんが普通じゃな事、
人に言わないから ね? 」
「、 、 、。」
「我慢、しないで 。
して欲しい事も、ちゃんと教えて ?」
「、 、 、 。」
「今は? ないの?」
「 え? 」
「してほしい事、 、 。」
ちづるの目が、また泳ぐ。
目で、タクミに何かを訴える。
タクミはちづるの言葉を待った。
「、、、、、、っ、、だ、、」
、 、 抱いて か 。
、 言えるかなー、 、 。
「、、、、、、っ、、
、、、、
抱っこ して、。」
、 ん ?
、 、 、 、
抱っ こ ?
、 、 、 、 、
予想 してた言葉と、 、
なんか、 、
何か 違う 、 、
、ちっちゃい子が お母さんに
言うやつ みたい、 、
タクミは一瞬だけ、笑いそうになった。
が、ちづるの目は真剣だった。
「、、、うん。」
タクミはちづるを 抱っこ した。
抱っこすると、ちづるの不安感がタクミに少しだけ流れ込んできた。
タクミは抱っこしながらちづるの頭を撫でた。
ちづるはタクミにピッタリとくっついて、しばらく動かなかった。