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カゲキに愛して。
【女性向け 官能小説】

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社内恋愛-4

「あぁ……真緒の中、すっげぇ気持ちいい……俺ももうすぐイキそう──あぁ、イキそう、イクッ、イクッ」

 ガンガンと押し上げられるように一際大きく突き上げられ、離れたかと思うと同時に彼から迸った白濁した液体を胸元や鎖骨、そして顔に感じた。
 びゅっびゅっと音が聞こえてきそうなほどの勢いで、なまあたたかい精液がわたしの頬や髪を汚していった。


 ふたりで熱いシャワーを浴びながら、何度も舌を絡ませた。
 彼がわたしの腰を抱き、わたしは彼の厚い胸板にキスマークをつけた。

 メイクを落とした素顔を彼に見せるのは少し気恥ずかしかったけど、再び高まってきたふたりの気持ちがその気恥ずかしさを打ち消した。

 乱暴にタオルドライした髪を乱しながら、ベッドに倒れこんで肌を合わせる。
 ドロドロに混ざり合い、溶け合うように深く深く繋がっていく。

 書き直された『正』がいくつもできあがっていき、二度目のシャワーを浴びる前に先日と同じように彼が写メを撮って保存した。
 回数は、彼が言った通り金曜日を超えていた。

 髪を乾かし、メイクを施して服の乱れをチェックする。
 その間、緒方さんは分厚い革の手帳を手に、仕事の電話を何件か立て続けに受けていた。ソファに腰掛け脚を組み、ミネラルウォーターを飲みつつ仕事の話をしている彼は、きりりとしていて格好良かった。
 長い脚。整った横顔。まるで映画のワンシーンみたい。

 わたしは自分がこの世で一番の幸せ者なんじゃないかとさえ思った。こんなふうに愛されて、幸せをひとり占めしてしまって──いつかバチが当たったらどうしよう。

 彼の方針や明日も仕事があることを考えて、日付が変わる前にホテルを出る。
 タクシーを拾い、わたしの家まで送ってくれた。

 甘やかな気持ちを胸の奥に感じたまま、その日はベッドに入るとすぐに寝入ってしまった。夢に彼が登場した。内容は忘れてしまったけれど。

 わたしたちはその後もたびたび仕事が終わったあとに食事をして、ホテルや彼の部屋で肌を合わせるようになった。


***


「最近、篠崎さんって緒方さんと仕事のあとに会ってる?」

 ひやりとした。
 昼食の時間に、同じ部署の女性社員みんなで近くのおそば屋さんに食べに出た。寒いからあたたかいおそばが食べたいねと言って。

 わたしたち女性社員は昔からの習慣なのか、息抜きの目的で二週間に一度は外へ昼食をとりにいく。ふだんはお弁当を持ってきていて、自分の席か会議室を借りて食べているのだけど。

 外で昼食をとるときは、自然と他の社員たちの噂話が出る。
 他部署の部長が不倫をしているらしい──なんてことも。

「えっと……帰りの電車が同じなので、ごいっしょすることがあります」

 わたしはできるだけさりげなく聞こえるように気をつけて言った。

「へえー、そうなんだ。いいなあ。わたしも緒方さんといっしょに帰りたーい」
「緒方さんってホント超イケメンですよね〜」
「イケメンすぎるわ、マジで。あたしもそっちのチームに行きたかったなー。緒方さんの横顔をチラ見しながら仕事ができるなんて最高じゃん」
「緒方さんに彼女なんてできた日にゃ仕事にならないわよね」
「それ、言えてます」

 ……この話題から早く離れたい。
 わたしは引きつった笑いを隠すようにほうじ茶を飲んだ。
 何を言ってもボロが出そうだったので、食べることに専念する。

 やっぱり、緒方さんとお付き合いしていることは言えそうにない。
 わたしたちの会社に社内恋愛禁止という規則はないものの、黙っておくほうが無難だろうなと思った。


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