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カゲキに愛して。
【女性向け 官能小説】

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社内恋愛-5

「緒方さんに欠点とかあるのかしら?」
「実は歌が超ヘタとか?」
「やだそれ、可愛くて好感度があがるわ、逆にね」
「何しても緒方さんなら平気ですよね。高身長イケメン最強!」

 欠点。確かに、彼にはそんなものはなさそうだ。
 頭の回転が速くて話術に長けていて、身長が高くてイケメンで……、きっと年を重ねてもその格好良さは変わらない。
 むしろ渋さが増してよりダンディズムに素敵になっていくかもしれないなあ。

 そんなひとが彼氏だなんて。
 言えないと思いつつ、自慢したい衝動に駆られる。
 きっとたくさんのひとがわたしを羨むはず。
 事実、彼はほんとうに自慢の彼氏なのだから。

「ねぇ篠崎さん、今度また緒方さんといっしょに帰ることがあったら彼の好みのタイプを聞いておいてよ。あたしの家、緒方さんと反対方向だからなかなか話す機会がなくってね」
「あ……はい、わかりました」
「抜け駆けはダメよー。緒方さんはみんなの緒方さんなんだから」

 ……ですよねー。
 やっぱり、バレないように気をつけたほうが良さそう。

「はぁー。あたしの彼氏も緒方さんくらい、できる男だったらなあ」
「彼氏がいるだけマシじゃないの」
「そりゃそうかもしれないけどさぁ」
「緒方さんもだけど、伊坂さんの旦那さんもとても素敵なひとですよね」
「ふふ、ありがとう」

 話題は過去の恋愛の話に変わり、わたしはホッとしながらおそばをすすった。みんなといるときに緒方さんの話が出るのって、心臓に悪いわ。

 定時後に緒方さんと会う場合は、大幅に時間をズラして、そして待ち合わせの場所の工夫もしたほうが良さそうだと思った。今晩彼にメールをしてみよう。
 あ、今日は仕事のあとに聡と約束があるんだった。
 あとで連絡しておかなくちゃ……。

 みんなの話題はいつの間にかバレンタインの話に変わっていた。今年も男性陣に配る義理チョコを、定時後にみんなで買いに行きましょう。 都合の良い日、それから悪い日をあとで連絡してください──。

 今年のバレンタインは特別な日になりそう。
 手作りが良いかしら。
 緒方さんは、どんなスイーツが好きなのかなぁ。プレゼントは何がいいかしら。

 バレンタインに、手作りのスイーツとプレゼントを用意するのも久しぶり。
 好きなひとのことを考えながらプレゼントを選ぶのって、ほんとうに幸せなことだと思う。
 チョコレートといっしょにお酒を贈るのもいいかもしれないな。オシャレな緒方さんにぴったり。

 ワクワクする。
 今日、聡にも話してみよう。
 聡になら、気兼ねなく緒方さんのことを聞いてもらえる。

 あーぁ。社内恋愛って、色々気をつかう。
 毎日彼の顔を見ることができるのは嬉しいことだけど、その分注意しなくちゃならないことが多い。社内恋愛を上手にこなすためのハウツー本って、ないかしら?



 一日の業務を終え、退社したあと聡との待ち合わせの駅へと向かう。
 今日も夕食後にリョーコさんのいるゲイバーへ行く予定。
 あそこはいつだってハッピーなオーラが漂っていて、話しづらいことまですらすらと話すことができちゃう。

 そして、話したあとは気持ちがすぅっと落ち着いていく。
 わたしにとって、なくてはならない場所になっていた。

 聡と落ち合い、まずは近くの和食屋さんで夕食をとる。
 それから、いつも通りふたり並んでバーまで歩いていく。
 夕食のときは仕事の話や共通の友人の話をすることが多い。


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