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煉獄のファルチェ
【ファンタジー 官能小説】

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宿屋にて-1


 ****

 ――宿の寝台に着くなり、ファルチェは膝立ちになってリロイの首に抱きつき、唇を合わせる。
 中途半端に味わったら、余計に我慢が出来なくなった。

 飢えを満たす時の副作用で、体中が火照りはじめ、脚の付け根がジンジンと疼いてくる。
 もどかしくて身体を擦りつけると、マントがはだけて裸身がリロイの服に触れる。
 尖った胸の頂が上着に擦れると、チリリとむず痒いような快楽が走り、胸の芯から腹の奥まで駆け巡っていく。

 ここの宿はかなり上等で、寝台は広く敷布も清潔だ。備え付けの風呂も、シャワーまで完備していたけれど、もう先に湯を使う余裕なんかない。

 ただもう、早く欲しくてたまらない。
 心が、喰いたくてたまらないと叫んでいる。

「そんなに焦らなくても良いから」

 リロイがファルチェの手を首から引き剥がし、寝台へ仰向けに押し付ける。
 そしてファルチェの上に跨り、胸元を押さえて動けないようにしながら、片手で自分の覆面と上着を取り払った。

「それに、たくさん可愛がるのも約束しただろ?」

 覆いかぶさってきたリロイに、頬へ音をたててキスされた。

「そっちはいらない!」

 頭にきて、ファルチェは唸る。
 ほっぺたにキスされても、唾液を飲めないからまるで意味がないのに。

 これで飢えが満たせるのは、リロイがかけた『服従の呪い』により、主人に尽くした報いを貰えるという形で、ファルチェの心が満足しているからだそうだ。

 リロイは、これではいつまでも本当には満たされないと言うけれど、ファルチェは未だに、自分が本当は何に飢えているのか解らないから、一時しのぎだって上等だ。

 それなのに、リロイが普段、自分からしょっちゅうキスするのは、頬とか額とかばっかりなのが頭にくる。
 あと、抱きついてほお擦りしたりとか、頭を撫でたりとか……そういうことをされても、飢えを満たせないばかりか、心臓の辺りが妙にむずむずして変な気分になるのだ。

「気持ちよくなるのも大好きなくせに、素直じゃないぁ」

 リロイが楽しそうに喉を鳴らして笑い、乳房をやわやわと揉み始める。

「ん……だって、早く、欲しい……」

 尖った頂を指で弾かれ、ファルチェの喉から甘い声が漏れる。音をたてて乳首を吸われると、背中をたまらない疼きが走った。

 胸に吸い付くリロイの頭を、夢中でかき抱く。
 悔しいけど、気持ち良い。膣奥がジンと熱くなって、蜜が零れ出してくるのを感じる。
 膝をたててリロイの下腹部を擦ると、衣服越しにも固く膨れている雄の感触がわかる。

「こら、悪戯するなって」

 リロイが困ったように笑い、ファルチェの足を大きく開かせる。

「ああ、すごく欲しそうにヒクヒクしてる」

 濡れた秘所の表面をヌチュヌチュと撫でられ、駆け抜けた快楽に背筋が震えた。

「あっ、あっ」

 短く喘いでいると、リロイが手早く衣服を脱いで、滾った肉棒を取りだす。

「どっちの口に欲しい?」

 鼻先に突きつけられた先端から漂う、濃い雄の匂いに、ファルチェの目がトロンと潤む。
 これにしゃぶりついて、熱い精を全部飲み干しても満足できるし、そっちのほうが手っ取り早いけど……。

「リロイ……こっち……」

 陰唇の横に指を添え、濡れそぼった入り口を割り開いて見せた。
 今日は朝から頑張ったんだし、約束だから好きなだけ貰う。
 こっちもいっぱいにしながら、キスも沢山して、リロイは両方満足させるべきだ。

「了解。じゃぁ、慣らさないとね」

 リロイが少し掠れた声で囁き、熱い息が耳をくすぐった。
 どれだけ動いても、滅多に息を乱したりしない男なのに、この時ばかりは呼吸が荒くなる。

「別に、慣らさなくて良い……」

 潤んだ目でリロイを見上げ、催促した。
 慣らさないと最初は痛いけど、どうせじきに気持ちよくなるんだから、わざわざそんなことしなくて良いと思うのに……。

 リロイはファルチェの脚の間に顔を埋めると、花芽を舌先でチロチロと舐める。

「ああっ」

 ファルチェの腰が大きく跳ね、秘裂からどぷりと蜜が噴き出た。蜜を啜られ、充血した花芽を舌でこね回されると、あまりの気持ちよさに頭がクラクラしてくる。
 浅く早い呼吸を繰り返し、リロイの寄越す快楽が身体中で膨れ上がっていくのを感じる。
 コイツの思い通りにされるのが悔しいなんて、考える余裕もなくなってくる。
 熱い舌で花芽をさんざん嬲られ、ファルチェは大きく身体を痙攣させて達した。

「は、あ、はぁ……」

 額に汗を浮かべ、ぐったりと脱力しているファルチェを、リロイが手の甲で口元を拭いながらニヤニヤと見下ろす。

「まだわかってないみたいだけど、突っ込んで出すだけってのは、味気なさすぎるよ。僕だって、イク時の可愛いファルチェを十分楽しみたいんだ」

「っ……んで、リロイが楽しむのさ……」


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