ちづるの思い出 6-1
うつむいたまま動かないちづるに、先生は、言葉を選びながら話そうとする。
「、、、これは、あの、、な ?
こういう事は、、、
学校では、やっちゃいけない事だ。」
ちづるは小さく頷く。
「、、なんていうか、、、いや。
、うん、、。」
先生も困っている。
今になって、ドアを、開けない方がよかったのでは?
先に、ドアの音だけさせて、人がいる事を知らせて、それから教室に入る、というやり方も、、あったのではないか?
と、少し後悔していた。
先生にも正解が、分からなかった。
「、、なんで、学校でこんな事してた?」
「、、、、、、、。」
「、、はぁ。
身体の成長の関係もある、と、先生は 思う。
とにかく、今回の事は、親御さんに相談して、、、それで、」
、、 、 ! !
「、、、、、っ! 、、っ!
、、!
ゃ、、や、、、や、だ、やだ、やだ、、、ゃだ、、
っ、っ!、っっ!!」
涙が、ポロポロと流れる。
頭に、お母さんの顔が浮かぶ。
おおらかで楽天的な、優しいお母さん。
「ゃ、、やだ!やだ!言っちゃやだ! やだ! やぁ、!だぁ、、!!!」
「っ、常盤、、」
ちづるは頭をブンブン振りながら言う。
いつも真面目で、しっかり者で丁寧に敬語を使う生徒がここまで取り乱す姿に先生は困惑する。
「やだ、、っ!やだ、うっ、ぅうっ、うっ、ん!ん、、うっう、ぅう、ん、ん、ん、先生、、ごめんなさい、、!ごめんなさい、、! ぅうっ、うっ、ごめんなさい、、!ん、っく、ごめんなさい、、ん、ん、ん、ごめっ、んなさっ、っっんっ!んっ!」
しゃっくりが出てきて、うまく話せない。
「常盤、、」
ちづるは、机につっぷした。
「ごめっ、ん、なさい、、ん、ん、ごめんなさい、んっ、んっ、んん、、ごめっ、、、」
先生はちづるの近くに座り、背中をさすった。
「分かった、、、もう、謝らなくていいから、、。」
「んっ、ん、ん、お母さん、に、んっ、、言わないで、、んっんっ 、っ、っく、ん、、、」
「、、、、。
、、、分かった。
もう、やらない もんな ?」
「んっ!んっ!っっく、う ん、、、」
「ん、、。」
先生は、ちづるが泣き止むまで、背中をさすってくれていた。
汚れた洋服と下着を先生にビニール袋に入れてもらい下校した。
ビニール袋、 、どうしよう、 、。
とにかく、お母さんに見つからないように、走って、部屋に入って、 、。
そう考えて家に帰るとお母さんの自転車がない。
あ、 買い物、行ってる 、 !
鍵で家に入り、急いで部屋に入って着替える。
そして、そのビニールをもってコンビニまて走ると、キョロキョロと誰も知ってる人はいない事を確認して、ゴミ箱へ捨てた。
数日経って母親に、『あのスカート知らない?』と、聞かれたが、ちづるは『知らない。』と、押し通した。